【動画ニュース】中国自動車業界に倒産の波 専門家「政府の補助金政策が主因」

中国自動車業界が厳冬期を迎え、大手メーカーの利潤が下がっただけでなく、中小メーカーには倒産の波が押し寄せています。その理由について専門家は、中国経済が下降に転じ、庶民の購買力が下がったことのほか、自動車メーカーに対する政府の補助金政策が主な原因だと考えています。

中国国家統計局が10月27日に発表したデータによると、今年の1月から9月にかけて中国の自動車メーカーの利益総額は前年同期比で16.6%下がり、主要メーカー18社のうち過去6カ月間で純利益が増加したのは2社にとどまりました。同時に、50社を上回る上場企業の自動車メーカーのうち、16社の前年同期比の下落幅が50%を超え、90%下落したメーカーも見られました。

中国最大の自動車メーカー、上海汽車集団股份有限公司の上半期の報告によると、総売上高は昨年同期比で19.05%下がり、株主の純利益は前年同期比で27.49%減少しました。
吉利自動車(ジーリー)の純利益は、前年同期比で40%も下落しています。

中国自動車工業協会の統計データによると、中国の自動車生産販売台数はすでに15か月連続で前年同期比を下回っており、販売最盛期の生産台数と販売台数の下げ幅も依然として同じレベルを維持しているにもかかわらず、前年同期比でそれぞれ11.4%と10.3%下降しています。海馬(はいま)、衆泰(Zotye ゾタイ)、力帆(リーファン)といった、海外の自動車メーカーと提携していない中国の独自メーカーは続々と経営難に見舞われ、倒産の危機に直面しています。

中国の金融専門家で、企業ウォッチャーの何軍樵氏
「半年間で倒産した自動車ディーラーは3600店以上。末端の販売市場に問題が生じたのは明らかだ。その問題とは単純なもので、在庫市場と新規生産市場が今、大きく変化しているからだ。新規生産量は増やせず、在庫消化の途中だ。大手メーカーはまだ在庫を販売している」
中国自動車業界の倒産の波は去年から始まっており、中国メディアは今年を自動車倒産年だと報じています。7月には紅星(ホンシン)自動車が休業し、倒産はあり得ないと豪語していた自動車部品メーカーの信義集団が8億元(約122億9500万円)もの債務に圧迫され、正式に破産宣告しました。

小規模メーカーの倒産もあちこちで起こっています。専門家は中国の自動車メーカーが続々と倒産に追い込まれる理由について、中国経済が下方に転じ、庶民の購買力が低下したほかに、新エネルギー自動車メーカーに対する補助金政策が主な原因だと考えています。

中国の金融専門家で、企業ウォッチャーの何軍樵氏
「自動車メーカーは国からの補助金をむさぼるため、それに群がっていた。実は中国の新エネルギー自動車の品質は非常に劣っており、電動バイクにセダンの車体を被せただけのものだ。しかもサイズが小さく、積載重量に耐えられないため大型は作れない。そのため売れないが国の補助金をだまし取れる、巨額のコストを浪費するこのような製品を製造している」
10月30日から11月1日にかけて上海新国際博覧センターで開催されることが決まっていた上海新エネルギー自動車自動化技術展示会は、参加予定企業60社のうち30社が倒産したため、来年に延期されることになりました。

中国の金融専門家で、企業ウォッチャーの何軍樵氏
「テスラは中国での生産を開始した。中国のいわゆる新エネルギー自動車はほとんど標準に達していない。政府はこうした状況に気づきはじめ、多くのメーカーが補助金をだまし取れなくなった。製造した車も売りさばけない。一般的な自家用車の販売台数も非常に少ないうえ貿易戦争の影響で外国企業が中国からの撤退を進めている。そのため多数の自動車メーカーが倒産に追い込まれている」

中国は14億の人口を抱える大市場を有しているため、理屈では自動車は供給が需要に追い付けないはずですが、米UCLAアンダーソン・スクール・オブ・マネジメントの経済学者、兪偉雄(ゆ・いゆう)さんは、自動車業界の倒産の波は、中国経済全体が深刻な状況に置かれていることを反映していると考えています。

米UCLAアンダーソン・スクール・オブ・マネジメントの経済学者、兪偉雄氏
「中国経済全体の成長をけん引していたのは、かつては輸出だった。輸出がだめになると投資に走った。投資がだめになると消費に頼った。自動車も消費の一環だが、その他の経済成長の動力源がいずれも縮小すると、消費活動も過去の高成長時の状態を維持できなくなった。なぜなら消費活動の成長は、過去の低金利や非常に緩やかな融資と関連するからだ」
兪偉雄さんは、中国で起きた自動車業界の倒産の波は、米中貿易戦争にも関連していると指摘しています。

 

 
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