【動画ニュース】香港の元英領事館職員「中国で拷問」「香港人が多数中国に送られている」

香港英国総領事館に勤務していた鄭文傑(サイモン・チェン Simon Cheng)氏が今年8月、中国本土で15日間身柄を拘束されていましたが、そのときに拷問や脅迫を受けていたことを明かしました。

英国のBBCが11月20日にサイモン・チェン氏のインタビュー映像を公開しました。チェン氏は中国本土で拘束されている期間中に、拷問を受けたと述べています。

香港市民のチェン氏は8月8日、出張のために中国本土を訪れましたが、帰りに拘束され、深センで15日間拘留されました。当時、中国共産党当局は拘束の理由を「買春」だとしました。

しかし、チェン氏はインタビューの中で、中国の秘密警察から拷問を受けたと述べています。秘密警察らは、香港のデモは英国が扇動していると考え、その役割について繰り返し尋問したといいます。さらには英国のスパイであると認めるようチェン氏を脅迫し、手錠をかけられただけでなく、目隠しをされ頭にフードを被せられたほか、殴打、睡眠剥奪など様々な拷問を受けたと述べています。

チェン氏はさらに、同じように虐待を受けている香港人を目撃しましたが、香港の抗議者らが逮捕され本土に送られて拘留されていると担当の警官からはっきり聞かされたと述べています。チェン氏は釈放される際、「買春以外のことについて漏らした場合、再度中国本土に連れ戻す」と脅迫されたそうです。

英国駐香港総領事館元職員 鄭文傑氏
「私は拘留センターに連れて行かれたが、私だけではなかった。他にも香港人がデモが原因で逮捕されていた」

BBC記者
「何人ほどいたのか」

英国駐香港総領事館元職員 鄭文傑氏
「私が見たのは10人ほどだが、具体的な人数はわからないが、多い感じだった。広東語で言うのが聞こえた。『手を挙げろ。デモではいつも旗をかかげているだろう?手を挙げろ』と大声で言っていた。これも虐待の一部分で、私も同じことをされた」

この問題はすでに外交問題に発展しています。英国のラーブ外相は、中国側のチェン氏の扱いは「拷問にあたる」と非難したうえ、中国大使を呼んで、チェン氏の扱いについて「激しい憤り」を表明しました。

ドミニク・ラーブ英外相
「私が真っ先にやるべきことは鄭文傑氏とその家族をケアすることだ。8月に彼の状況を知ってからこのようにしている。私はすでに中国大使に明確に伝えたが、これらの指摘は信頼できるもので、彼らは拷問を受けており、これは国際法に反している」

一方、香港の司法トップ、鄭若驊(テレサ・チェン)氏は20日の記者会見で香港人を中国本土に送る問題について質問された際、現段階では十分な情報がないためコメントができないとしたうえ、チェン氏は中国本土の関連部門に通報すべきだと述べました。

香港律政司 鄭若驊司長
「彼には中国本土の関連当局に通報することを勧める。もちろんこの問題については報告すべきだが、さらなる調査と研究が必要だ。これらの情報がまだないので、現段階ではコメントするのは難しい」

中国共産党外務省 耿爽報道官
「彼が中国駐英国大使に交渉を求めても、受け入れられないだろう」

釈放後、チェン氏は身の危険を感じ、領事館を辞職しました。今回のことを受け、英国政府はチェン氏に英国滞在ビザを発行することを決めました。

 
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