中国の経済学者が近日、今後十年のうち中国の経済成長率は5%を超えることはないだろうと述べました。米国在住の経済学者は、長期にわたる経済減速の最大のリスクは金融破綻であると警告しています。
安信証券首席経済学者 高善文氏
「2020年から2030年まで、中国経済の長期の平均成長率が5%を超える可能性は低い。我々が案じなければならないのは、4%を維持できるかどうかだ」
安信証券首席経済学者の高善文(こう・ぜんぶん)氏は、11月27日に行った「年度戦略会議」で、中国経済の減速には、都市化の減速、労働人口の高齢化、貧富格差の拡大、内需の減少など、多くの構造上の問題が存在すると指摘し、特に国有企業が民間企業を犠牲にする形で成長する「国進民退」の現象が加速化していると述べました。
安信証券首席経済学者 高善文氏
「民間企業のほうが資本の使用が効率的であるなか、大量の信用貸付が、ますます多く、ますます集中的に、ますます安値で国有企業に流入している」
中国の経済学者の向松祚(こう・しょうそ)氏も公開講演のなかで、中国共産党当局の「国進民退」政策と経済への干渉がますます深刻化していることを批判し、多くの企業家の共鳴を呼びました。
中国人民大学国際貨幣研究所 向松祚副所長
「歴史が証明しているように、国有企業が成功するはずがない。国有企業がうまくいくなら、改革の必要はないはずだ。(その通り!)共産党の一元化したリードに頼って企業を運営できるのか?このまま進んでいくと、中国経済は低迷が続くしかない」
在米経済学者 夏業良氏
「中国の改革は市場化拡大に向かうべきだが、現在の状況は真逆で、計画経済の時代に後退している。友人の一人が20数社の企業を持っていたが、時勢の厳しさをと感知し、2社だけを残して、他は全部売却、贈呈、または畳んだ。国民経済に最も貢献できる民間経済が大きな打撃を受けている。これで国有企業がどこまで持つのだろうか」
米国在住の経済学者、夏業良(か・ぎょうりょう)氏も、中国経済の減速が続けば、真っ先に金融危機が勃発する可能性があると警告します。
在米経済学者 夏業良氏
「近年の拡張が速すぎた。これら商業銀行は業界、領域、地域を跨いで多くの投資を行った。結果的に現在の不良債権をもたらし、回収は不可能だ」
過去一年で、多くの地方銀行が資金不足の危機に陥っています。中国人民銀行の11月末の報告では、中国全土で586社の中小規模の金融機関が危機的状況にあることが示されています。
在米経済学者 夏業良氏
「地方レベルの中小銀行が次々倒産していけば、大手商業銀行や政策性銀行にも影響が及ぶ。いったん銀行が破綻すると、例えば300万や500万の預金があったとしても、銀行は多くて50万しか賠償しない。このようなリスクは非常に大きい」
夏業良氏は、経済減速の主要な原因は当局の「国進民退」政策であり、米中貿易戦争はただ減速をさらに加速化させただけだと考えています。北京当局が引き続き市場化改革を行わず、米中貿易戦争の激化、または米中経済のデカップリングを招いた場合、中国経済は数十年前のレベルに後退する可能性さえあると指摘しています。