2008年の世界臓器移植学会で発表された「イスタンブール宣言」で、移植学会の重要原則が打ち出されてから11年目となった今年、臓器の濫用および移植ツーリズムについて考える国際シンポジウムが12月2日に東京で開催されました。
日本、韓国、台湾から集まった医学、法律の専門家が東京大学で、各地で行われている臓器売買と臓器移植ツアー、移植に関する倫理問題と関連の法整備の現状について討論しました。シンポジウムでは、多くの参加者が中国の違法な臓器移植問題に触れ、新疆ウイグル自治区のウイグル人と法輪功学習者からの強制的な臓器移植問題について憂慮する声が挙がったほか、臓器移植ツアーを含めた違法な臓器移植をいかに停止させるかについて、真剣な議論が行われました。
韓国高麗大学医学部 韓熙哲教授
「一人の人間が生きるために他人が死なないといけないというのは倫理的に間違っている。このような倫理上の問題がある臓器移植は、なくさなければならない」
台湾では、国外で臓器移植を受けた場合、帰国後に移植手術を行った病院名、担当医師の情報を届け出なければならないと規定されています。
国立台湾大学医学部の蔡甫昌教授
「自国の臓器提供者数を増やして患者が臓器提供を受けられる機会を増やす必要があるほか、違法な臓器移植については、制度の透明化や、通報や登録システムといった方法が必要であり、また一部の違法な仲介行為を法律で対処しなければならない」
ニューヨークの臓器移植倫理組織TAICOTの顧問弁護士の朱婉琪氏
「今回の活動の後、韓国、日本、台湾は正式な連盟を立ち上げる。我々はより多くの主流社会がこのテーマに注意を払うよう働きかけ、より多くの活動を行い、アジア地域で法的ファイヤーウォールを構築し、中共の行っている生きた人間からの臓器摘出の真実をすべての人々に知らしめ、さらに具体的な行動をとって、中国の臓器移植ツアーを止めなければならない」
日本の参加者
「世界のさまざまな先生方のお話を聞いて、理解が大変深まった。また日本、台湾、韓国、このいろいろと外交問題が紛糾している中で、この三つの国が協力しているというところが分かったことも大変うれしく思った」
今回のシンポジウムはアジア各地が臓器移植と臓器移植ツアーに対する国際的な法整備を加速させる、大きな節目となりました。