国際人権デーを迎え、韓国の民主化の聖地として知られる光州市で行われる予定だった香港関連行事が2度も会場を取り消されました。中国領事館が圧力をかけたことがわかり、波紋を呼んでいます。
12月10日は世界人権デーです。韓国では、民主化運動の出発点となった全南(チョンナム)大学の講義室で香港に関する懇談会が開かれる予定でしたが、開催日の4日前になって、大学側が突然会場の貸し出しを取り消しました。いっぽう会場の取り消しに、中国駐光州(クァンジュ)総領事館が介入したことがわかり、波紋を呼んでいます。
貸館の取り消し理由について、全南(チョンナム)大学の関係者は「中国総領事が大学に来て強く抗議した」と言及しています。総領事は「行事で問題が起きても責任を持たない。中国人留学生は統制が難しいから」と言って、中国人留学生を動員することをほのめかしたといいます。
その後急遽「全南道庁別館」で会場使用を申請したものの、9日になって会館の使用を許可しないと知らされました。最終的に「YMCA百濟(ペクチェ)館」でようやく開催することができました。
2回続けて香港関連の懇談会会場が取り消されたことは、韓国各界で波紋を呼んでいます。主催者側は記者会見を開き、中国領事館からの圧力について全南大学側に説明を求めました。
「抑圧に立ち向かう市民」をテーマにした香港市民活動家懇談会には、光州人権会議など9つの団体が参加し、記者会見では各団体が声明を発表しました。
正義党光州広域市党 羅景埰委員長
「もしこれが事実ならば、大韓民国国立大学で開催される行事も圧力をかけて取り消しできると考える中国政府の内政干渉であり、香港市民はもちろんのこと、韓国市民の表現の自由まで力で押さえつけることができると考える傲慢な覇権主義である」
主催団体の幹事は、記者会見を準備する過程でも大きな圧力を受けたが、命をかけて戦っている香港市民のことを思うと、諦めるわけにはいかないと語ります。
光州人権会議幹事 黃法良氏
「記者会見の準備過程にも多くの圧力があった。『記者会見をするな。多くを失うことになる』といったメッセージが送られてきた。香港ではいま性暴力を受けたり、失明したり、実弾に撃たれて重体になったりしながらも、翌日また立ち上がりメディアの取材を受けるなどして戦っている。香港ではこのように戦っているのに、私が被る若干の損失のために懇談会を放棄するのはいかがなものか」
懇談会に参加した香港人活動家は、韓国で会場を取り消されることは想像もしなかったと語ります。
香港人活動家 陳さん
「賛成でも反対でも、韓国のような民主主義国家で、特に大学では平和的な活動ができる自由が保障されるべきだ。我々はただ交流会を行い、香港のことを皆さんにはっきり伝えたいだけだ」
民主化について討論する懇談会が、韓国の「民主化運動」のスタート地点である全南大学と最後の激戦地であった全南道庁で開催できなかったことは、韓国で大きな波紋を呼び、多くの市民団体や学生が怒りの声をあげています。