リンゴを売って生計を立てている中国のメディア関係者が助けを求める広告を出したことが、このほどネットユーザーから注目を浴びましたが、このメディア関係者は黒竜江省の鶏西新聞メディアグループのスタッフで、このグループのある責任者は、給料が12か月間支払われておらず、生活を支えるために仕事を終えると肉体労働などの副業をせざるを得ない従業員もいると語っています。
内部事情に詳しい人物がセルフメディア「伝媒見聞」の取材に対し、鶏西新聞メディアグループの内情を明かしました。同メディアグループは約490人の従業員を抱えていますが、うち公務員の待遇を受けているのは200人余りで、残りの200人余りに対しては、2019年の給料が支払われていません。記者は取材にかかる出張費を自己負担しているほか、苦しい生活の足しにするため、仕事を終えるとタクシーの運転手や垢すり、家庭教師などを行ったり、週末に肉体労働を行うスタッフもいます。
中国の人権活動家 胡さん
「これらは国営企業で、党が面倒をみているから潰れない。ただ上にも金がないのだ。今年の経済状況はあまりにもひどい。あらゆる物価がどんどん上がり、経済は悲惨な状態だ。民間企業は融資を受けられず、みな不動産投資に走った。私と同郷の知り合いは杭州で働いているが、会社からまだ2万元(約31万円)が支払われていないという。給料を出していないのだ。私が前回、杭州で働いたときにも未払いがあった。反抗すれば逮捕される。私は10数個のアカウントがロックされている」
公開データによると、鶏西新聞メディアグループは鶏西人民ラジオ放送局、鶏西テレビ、「鶏西日報」、「鶏西晩報」、「鶏西ラジオテレビ新聞」、鶏西新聞網の6つのニュースメディアを中核とする総合メディア集団ですが、12月6日にこれらのメディア6社のオフィスに電話取材を試みたところ、広告部門の電話を含め、どこにもつながりませんでした。
中国の人権活動家、李さん
「メディアに金がないなんて本当に驚きだ。特にテレビ局の収入は多いのに。ゴールデンタイムのコマーシャル料は高額なので収入も多い。それなのに金がないとは非常に深刻な状況だ。企業は今次々と倒産している。多くの工場が移転し、ショッピングモールもガラガラだ。これらの状況が、企業がコマーシャルを出せないことを証明している。広告費が出せないのだ。それでテレビ局に影響が出ている」
東北地方のメディアで給料の未払いがここ数年で頻発しており、昨年6月には3か月分の給料が滞っているチチハルテレビ局の編集者と記者が、会社の前で横断幕を掲げました。また「大慶(だいけい)日報」では一部の従業員に1年10カ月も給料が支払われておらず、未払い給与の支払いを要求する従業員が「党の代弁者に未払いを要求してもなにもならない。瀕死の状態だ、生きるための権利を守る」と書かれた横断幕を掲げました。
またここ数年、中国各地で多くの新聞が発行停止に追い込まれました。今年に入り「北京晨報」「法制晩報」が休刊を正式に発表したほか、「黒竜江晨報」、「新晨報(しんしんほう)」、「贛州(かんしゅう)晚報」、「安陽晩報」などを始めとするメディア十数社が元旦当日や元旦前に発行停止すると報じられました。