11日の台湾総統選で現職の蔡英文総統が台湾史上最多得票で圧勝し、再選を果たしました。与党民進党と最大野党の国民党の間で揺れ動いていた台湾中部で、民進党が勝利を収めたことと、初めて投票に参加した多くの若者の票が蔡英文総統圧勝の重要な要因となりました。
総統選が行われた11日、午後4時に投票が締め切られ、開票が始まりました。民進党の蔡英文総統が国民党の韓国瑜氏を破り、817万票の史上最多得票で再選を果たしました。選挙本部前では多くの若い支持者らが旗を振り、喜びに沸きました。
2020年総統選挙は有権者数1913万人のうち、20歳から29歳までの若者が311万人を占めています。うち今回初めて投票した人が118万人で、全体の6%を占めています。
経済学者 吳嘉隆氏
「2018年の選挙は地方選挙で、有権者らは韓国瑜氏に投票することで、蔡英文氏の一部改革や構造性議題に抗議を示した。しかし、総統選になると、韓国瑜現象は以前のような威力はなくなった。原因は選挙の主軸が国家安全や主権の擁護に変わり、親中と親米の選択に変わったからだ」
2018年の統一地方選挙では民進党が大敗し、高雄市長に当選した国民党の韓国瑜氏が話題となり「韓流ブーム」が巻き起こりました。しかし、2019年になると、香港で「逃亡犯条例」改正案反対デモに端を発した抗議活動が続き、自由と民主主義のために戦う香港人が中国共産党に抑圧される姿が、台湾の人々に大きな教訓を与えました。さらに、11月には中国の元工作員「王立強」氏が、中共がいかに台湾社会に浸透し選挙に介入しているかについて暴露し、台湾社会が揺れ動きました。これらの事件は台湾の若者たちが投票場に足を運んだ決定的な要因となりました。
1989年天安門事件元学生リーダー ウアルカイシ氏
「元々民進党が言っていた『国民党への投票は共産党を支持するのと同じ』が一理あるように感じる。なぜなら、国民党は香港問題に対する立場を何も表明していないので、このような選挙結果は当たり前だ。同時に台湾の未来と自由と民主主義に誇りを持っている若者たちがさらに関心を持つようになった」
これまで台湾では、北部は国民党、南部は民進党の支持層が厚いとされてきました。中部の台中、彰化(しょうか)、南投(なんとう)はどちらの候補が勝つか分からない揺れ動く地域とされていましたが、今回の総統選挙で民進党陣営は中部で155万票を獲得し、国民党陣営の107万票に対し、48万票上回りました。
台湾シンクタンク諮問委員 董立文氏
「台湾の地理的位置は変えることができない。台湾がいかに逃げようとしても、横暴な中共とは話が通じない。国民党の根本的な問題は、中共に対し弱腰なところだ。これが惨敗の最大原因だと思う」
台湾の今回の選挙結果は、中共にノーと言い、中共に立ち向かう台湾人の姿勢を国際社会に明確に伝えました。