中国のインターネット上に1月8日、西安飛機工業設計有限公司の従業員が養老年金の遅延に対するデモを行う動画がアップされました。同社は中国の全天候型戦闘爆撃機JH-7の製造元として知られており、その親会社である中国航空工業集団の李守澤(り・しゅたく)副社長は、グループ企業従業員の養老年金を含む8億元(約128億7000万円)を着服したとされ、先月にビルから投身自殺を行って死亡しました。
中国のネットユーザーが1月8日にアップしたデモの動画の中で、中国航空工業集団副社長の李守澤が、そのグループ会社の従業員の養老年金を含む合計8億元を着服し、逮捕を恐れて先月6日にビルから飛び降り自殺したと明かしました。この汚職事件が「西安飛機工業設計有限公司」従業員による未払い年金の支払いを求めるデモの発端になったとも伝えています。
デモ現場の様子を撮影した動画によると、従業員は「搾取反対 ペテン反対」「食べなければならないし年金も必要だ」などと書かれた横断幕を掲げ、「養老年金を出さないつもりか」とスローガンを叫んでいます。
「西安飛機工業設計有限会社」という会社はネットでは検索できなかったため、新唐人記者は1月10日に西安飛機設計研究所と西安飛機工業有限公司に電話取材を試みましたが、このデモについて確認はできませんでした。
西安飛機工業有限公司の受付
「こちらは当社の電話受付ですが、あなたのおっしゃる(デモの)事情については分かりかねます」
中国メディアは李守澤が亡くなって10日後にようやくこの件について報じましたが、具体的な死亡理由には触れなかったため、さまざまな憶測を呼んでいます。
李守澤は国産の早期警戒管制機KJ-2000の総責任者で、かつて中国航空工業集団第一飛機設計研究院(一飛院、西安飛機設計研究所、603所ともいわれる)に在籍していました。この研究院の幹部グループ全体が汚職事件に関わっており、現在の書記が1億元(約16億円)の着服容疑で取り調べを受けているほか、その他の60人あまりの中間管理職の幹部が問題を説明するため自主的に出頭していることも報じられています。
公開データによると、西安飛機工業(集団)有限公司は1958年に設立され、中国の中・大型軍事用・民間用航空機の製造を手掛けており、従業員数は2万人以上、西安飛機設計研究所の現在の従業員数は2000人余りです。