中国経済の先行きが一層不透明になり、中国のインターネット業界にもリストラの波が押し寄せるなか、ある企業が「リストラ免除券」を発行すると発表して注目を浴びています。
1月8日、中国のインターネットセキュリティ会社「奇虎360」(チーフー サンロクマル)の周鴻禕(しゅう・こうい)董事長が、中国SNS大手の微信(WeChat)」の「友達の輪」に、同社の今年の年次総会の景品として「リストラ免除券」を発行すると通知しました。
「リストラ免除券」には「この券を獲得した従業員には、有効期限を2020年1月1日から12月31日までとして、リストラを一回回避できる権利が与えられる。使用者は本人のみとし、売買を禁止する」と記されています。
このニュースを受け、同社で大規模なリストラが行われるのではないかと多くの人々が憂慮しています。
「奇虎360」は直ちに「リストラ計画はなく、ただの冗談だった」と発表しましたが、中国のネットユーザーは昨年12月中旬に、同社の従業員がインターネット上に「会社がリストラを開始した」と投稿していたことを突き止めました。
中国のネットユーザー、陸(りく)さんは、景気の悪化により多くの企業がリストラに踏み切っており、リストラされた人々に経済的な問題が生じていると指摘しています。
中国のネットユーザー 譚さん
「外資系企業でリストラが行われる際には、従業員に多額の補償金が支払われるが、中国企業の場合は、従業員が自主的に辞めていくように仕向ける。補償金を出すつもりなどないし、長期契約を結んでいる従業員に対しても、彼らが仕事を続けられないようにする。そうすれば何も支払う必要がなくなるからだ」
中国経済が疲弊する中、中国に新たなリストラの波が押し寄せています。現在、百度、テンセント、美団(meituan メイトゥアン)、知乎(ちこ)、網易(ワンイー)、シートリップ、滴滴出行(ディディチューシン)を始めとする中国のインターネット関連企業がリストラの計画や実施に踏み切っているとの情報もあります。
多くの企業はリストラを「最適化」や「社会へ人材を送る」などと呼んで、社会の不満を少しでも解消しようとしています。
中国の李克強国務院総理はこのほど、「雇用の安定」を最重点項目に掲げて中国に大規模な失業の波が起きるのを防ぐよう求め、矛盾の激化と事態の拡大を防止するため、リストラによって引き起こされる「集団による突発的な事件」に対する措置を講じるよう要求する文書を発表しました。