先日、武漢市の病院に潜入し、病院の現状を外部に伝え注目を集めた武漢市民、方斌さんが2月10日、当局に拘束されました。
10日午後、複数の中国のネットユーザーがツイッターで、方さんが拘束されたことを伝えました。
中国の反体制派の芸術家で現在タイに逃れている華涌(かよう)さんも、「武漢のネットユーザーや方さんが住んでいる団地の警備員を通して確認したが、方さんは中共公安部からの命令で午後3時過ぎに強制連行された」とユーチューブで伝えています。
中国のネットユーザー高さんによると、10日午前、大勢の私服警官と地域の警察が方さんの自宅に押しかけました。午後になって、消防隊員が扉をこじ開け、方さんを強制連行したといいます。その際、多くの私物も押収されました。高さんは、危険な状況に置かれている方さんへの国際社会の関心を呼びかけています。
中国のネットユーザー 高さん
「現在の状況から言うと、我々異見者は政府とウイルスという二重の危険に直面している。多くのことにおいて何もできない状態だ」
中国の非政府組織活動家の楊占青(ようせんせい)さんは、方さんの身柄拘束は予想外のことではないと述べます。
中国の非政府組織活動家の楊占青さん
「中共統治下の中国では、ネット封鎖を突破してツイッターにログインすることは許されない。民間人による感染情報の取材や報道などは尚更だ。しかし彼は全部やっただけでなく、全ての人に立ち上がるよう呼びかけ、暴政に立ち向かうよう呼びかけた。これは大きなタブーを犯したことになる」
楊さんは、身の危険を知りながらも勇敢に声をあげた方さんに対し、当局は民間から呼応の声が出るのを恐れ、彼を拘束することでいわゆる「雑音」を消そうとしていると指摘します。方さんは当局の情報隠蔽を不満に思ったため、2月1日、武漢市内の複数の病院に潜入し、中の様子をカメラに納めました。武漢市第五医院では、わずか5分間で8人もの遺体が運び出され、火葬場の車両に乗せられていました。この動画がネットで公開されると、国内外で大きな反響を呼びましたが、方さんは当日夜、警察に拘束されました。拘束される様子を撮影し、連行される直前にグループチャットに送信し、他のユーザーが一気に動画を拡散しました。結局、警察は当日の深夜に拘束を解除し、方さんは3時間かけて自転車で帰宅しました。
その後、毎日動画を撮影し、ユーチューブにアップしていましたが、9日の短い動画を最後に音信が途絶えました。