「政府から見放されている」武漢市「百歩亭団地」からの絶望の叫び

武漢市江岸区に位置する大型集合住宅団地「百歩亭」では1月18日、毎年恒例の新年イベントとして「万家宴」が開催されました。しかし、このイベントによって、多くの住民が新型肺炎感染しました。2月9日、百歩亭団地の住民がネットに助けを求める文章を投稿し、当局は感染情報を隠蔽しており、物資の支援もなく、98歳の両親は食料もない状況だと訴えました。

2月9日深夜、「百歩亭」のある住民「野孩子hanniblo」がウェイボーに助けを求める文章を投稿しました。この住民は「絶望の中でこれを書いている」とし、万家宴を開催したことが原因で多くの住民が新型肺炎に感染したと述べました。投稿では、「武漢市の関連部門責任者は百歩亭の多くの住民が新型肺炎に感染していることを隠すために、新型肺炎の確診判定を受けられるのは各ブロックで1日一人と定めている。大量の、感染の疑いのある人や発熱症患者がいまだ自宅におり隔離されていない。さらには重症患者が助けを求めてあちらこちらを走り回っている。武漢市は百歩亭を見放している。百歩亭の感染者数が予想を超えているので、江岸区政府は恐れて数字を誤魔化している」と訴えています。

武漢市民 張さん
「政府は百歩亭を見放した。地元の江岸区の責任者は官職を失うことを恐れて、彼らを閉じ込めて、ほったらかしにしている。あちらには9つのブロックがあり、一つのブロックには4000戸が住んでいる。一日報告できる感染者数は一人を超えてはならない」

ウェイボーの文章はさらに続き、中央政府に助けを求めています。「隣の団地では毎日物資が配布され、人力が補充されているのに、百歩亭だけ何もない。我々百歩亭住民は絶望に陥っている。中央政府は我々の現状を理解し、助けて欲しい。我々百歩亭の住民をどうか助けてください、お願いします」

助けを求める武漢市民 張さん
「私の兄も万家宴の被害者だ。金銀潭医院の救急室に搬送された。両親は兄と同居しているので、感染しているかもしれないが、かまう人は誰もいない。本当にかわいそうだ。政府の対策やインスタント麺の配送なども、全く実行されていない。両親は今年98歳だが、食料もない状況だ」

武漢の新型肺炎の蔓延がコントロールできなくなり、感染者が増え続けると、当局はようやく臨時病院や隔離施設を建設し始めました。11日早朝、武漢市新型肺炎防疫指揮部は第11号と第12号通告を発表しました。内容は、「発熱患者は区をまたいて診察を受けてはならない。市内全ての住宅団地は閉鎖式管理を実施し、確診患者や感染疑いのある患者のいる集合住宅に対しては厳格な封鎖と管理を行う」というものでした。

武漢市民の張さんは、近所のスーパーマーケットの店員が感染していることが判明してから、当局がさらに厳しい措置を取り始めたと語ります。

武漢市民 張さん
「今朝の1時、武漢市防疫指揮部が第12号令を出し、全ての団地の出入りを禁止すると通告した。外に出ると違法になるということだ。外に出て捕まっても理由は要らない」

百歩亭は4万世帯、13万人以上が住む大型集合住宅団地です。先日、中国メディアが百歩亭団地の半分以上の集合住宅で感染者が出ていると報じました。百歩亭団地では1月18日、新年イベントとして第20回「万家宴」が行われ、各家庭から13000種類の料理が提供され、多くの住民が参加しました。当時武漢市当局は新型肺炎はコントロールと予防が可能であると発表していましたが、23日には突然街全体を封鎖しました。

 
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