新型コロナウイルス肺炎の蔓延がさらに拡大するなか、防護用品の不足と極度の疲労により、ウイルスに感染する医療関係者が増加し、死亡者も出ています。ある隔離施設の当直医は同僚の三分の一が感染した可能性があると明かしています。また先日、武漢市中心医院の複数の医療スタッフが彼らの病院の防護用品は使いつくされてしまったため、援助を必要としていると立て続けにSOSを発しました。
先日、武漢の隔離施設で、24時間体制の医療チームの医師として働いているというある当直医は、勤務中に大量の汗をかくが防護服は一着しかないため、体の上からアルコールを吹き付けるしかないと吐露しています。また彼らの病院で新型コロナウイルス肺炎と診断されたスタッフは、表向きは一人だけだが、最新の臨床基準に照らすと同僚の三分の一が感染している可能性があるとも語っています。
13日には、武漢市中心医院の当直医が、支援物資を求める動画をインターネットに公開したことが注目を集めました。
武漢中心医院の医師
「(使っているのは医療用ではなく)すべて工業用マスクだ。それに私が中に着用しているのもセミの羽のように薄い防護服だ。みなさんの力を貸してほしい。我々医療スタッフの血を無駄に流させないでほしい。我々が足に履いているのはすべて緑色のビニール袋、自分で買って来たゴミ袋だ。政府よ、同胞たちよ、どうか我々に物資を提供してほしい。よろいなしの丸裸で我々を戦場に立たせないでほしい」
武漢中心医院の医療スタッフは、彼らの病院の防護用品はすでに使いつくされてしまい、緊急援助が必要だと明かしています。
武漢中心医院の医療スタッフ
「不足しているのは防護服とN95マスクだが、これらは消費するペースが速い。ここは指定病院なので、消費する量も多い。防護服は一日で約5~6000着、マスクは一万個必要だ。まもなく無くなってしまうため、急を要している。物資は今、非常に不足しており、一部の医療スタッフも感染しているが、(感染者として)カウントされていない」
13日、SNSウェイボーのあるユーザーアカウント名「王暁白BAZAAR」は、武漢中心医院から発信されたSOSを転送し、「医者たちがつぶれそうだ!過労に加え防護用品もなく、医療スタッフも次々感染し、すでに重症になっている人もいる」とコメントし、さらに「絶望的だ。装備もなく、極度の過労で死を間近に感じている。もし自分が発症したら生き延びる確率は低いだろう」とのある医師の訴えを添付しています。
武漢中心医院の副主任 蔡毅医師
「マスクも防護服も不足している。(必要な数は)推定しにくい。感染がいつまで続くのか分からないからだ。どうかこのことを放送してほしい」
武漢中心医院のある医療スタッフは10日、ウェイボーに「防護用品がこんなにも不足する中、我々は何を手に戦えばいいのか?すでに何人もの同僚が倒れてしまった。我々を失望させないでほしい。我々は叫ぶことも抵抗することもせず、最終的には何もかもなくなって、ただ黙って命を投げ打つことしかできない。こんなありさまでどれだけ持ちこたえられるのか?どれだけの犠牲が必要になるのか?」とのメッセージを残しています。
武漢赤十字会のスタッフ
「N95マスク、ゴーグル、防護服など特に不足している物資はまだ多く、助けを求めている病院も多い。これらは消耗品だ」
武漢でボランティアを行っている市民は、現在、武漢の大病院は物資が欠乏しているが小規模医院はさらに物資が不足しているため、関心を寄せてほしいと明かしています。
武漢でボランティアを行う曹さん
「医療基準を満たしているものはあまりない。民間で購入できる製品は基本的には一般用で、医療用は手に入らない。物資が一番不足しているのは大病院ではなく小さな病院、地域の病院だ。防護服やマスク、そして飲食物(が足りない)。小規模医院は全体が隔離病棟になってしまい、患者が入院しているからだ」
また、武漢中心医院後湖分院の呼吸器重症疾患集中治療室(RCU)の看護師長が病院上層部に宛てた支援を求める手紙には、「医療スタッフはすでに40日以上も働き続けており、最近は自分の同僚たちが頻繁に生死の瀬戸際に立たされ応急処置を受けている。李文亮医師は亡くなり、胡衛峰医師、易凡、梅仲明主任はチューブを繋がれ応急処置を受けている。こうした悲惨な状況が、何とか持ちこたえていた医療スタッフを徹底的に崩壊させた。誰もが毎日涙を流し、不安と恐怖を抱えている」と記されています。