ある武漢医療従事者の告白「遺体が放置されている」中共は火消しに躍起

1月下旬、あるネットユーザーが、武漢市赤十字会医院で遺体が放置されていると暴露しました。中国共産主義青年団中央委員会はこの情報のもみ消しを図りましたが、中国メディアの最近の報道によって、図らずも武漢赤十字会医院では一時期遺体が多すぎて処理しきれないでいることが明るみに出たほか、中国共産主義青年団がデマを流して真相をもみ消そうとしていたことも明らかになりました。

中国の雑誌『人物』の3月号に、『武漢の医師』シリーズの第一回が掲載されました。取り上げられたのは武漢赤十字会医院救急外来看護師長の関秀麗(かん・しゅうれい)さんで、わずか四日間でこの記事は480万人もの人に閲覧されました。

この記事には「彼女は祖父の代からの共産党員で、ヒト-ヒト感染は起こらないという政府の発表を信じていた。しかし現実は今、完全に真逆の方向に向かっている」と記されています。

1月13日に救急外来の看護師2人の感染が確認され、関秀麗さんは非常に深刻な事態に陥っていると直感しました。防護服があったにもかかわらず、彼女らは「着用してはならない」「パニックを起こしてはならない」と命じられました。

1月20日になってようやく、中国の感染症研究第一人者の鐘南山(しょうなんざん)医師がテレビを通じてヒト-ヒト感染は起こると発表し、医療スタッフ17人が感染したことも明らかにしました。

赤十字会医院はその後、発熱外来の病院に指定されました。指定を受けた初日に外来患者数は2400人に達し、すぐに満床となりました。通路や廊下にまで患者が横たわり、泣き声や怒鳴り声が響き渡るなか、患者の家族らも冷静さを失い、病院全体がコントロール不能な状態に陥りました。

外来部の胡臻(こ・しん)主任は、病院上層部に微信(ウィチャット)を通じて支援の追加を求めましたが、返って来たのは「自分で制御しろ」との一文でした。救急外来も上層部に助けを求めましたが、受け取ったのは「耐えろ」の一言でした。

ある患者は廊下で眠り、応急措置も廊下で受け、亡くなる時も廊下でした。

このころ、関秀麗さんが人々の中を歩くたびに何人もの人が彼女を凝視して「助けてください」と懇願していたといいます。

この記事には「最初の数日間は、長い時間放置されていた遺体があった。関秀麗さんは警備科に電話をかけ、葬儀業者に遺体を運んでもらうよう頼んだが、警備科は無理だと言った。関さんはやむなく『来ないのなら遺体を引きずり出して路上に並べておく』と迫った。それでようやく霊柩車がやってきた」との生々しいやり取りも記されています。

1月下旬にもあるネットユーザー「魔女小稀」がウェイボーに、武漢赤十字会医院で遺体が放置されていると投稿しました。それには「三人の遺体が朝から放置されているが、誰も対処していない!誰が患者を助け、誰が医療スタッフを助けるのか!」と記されています。

これに対し、中国共産主義青年団中央委員会は、これらは事実ではないとのデマを広めました。

雑誌『人物』の報道に対し、あるツイッターユーザーは「遺体が放置されていたのは確かであり、共産主義青年団がデマを流して真相を打ち消そうとしていたことが最終的に証明された」と投稿しています。

武漢市民の陳さん
「これは正月前に私が体験したことだ。私は遺体からほんの数メートルのところにいたが、それは子どもの遺体で、何の症状もなく、何の措置も取っていなかった。このとき私は身の毛がよだつほどの恐怖を感じた。私は病院の状況を見るために病院に行ったが、これらの遺体を見た時ぞっとした。遺体があそこに放置されていたら、そこを通る人は感染してしまうだろう。この状況には本当に恐怖を感じた」

ネットユーザーらは共産党青年団を「何とか言ったらどうだ」「間違いを恐れることは、進歩を滅ぼすことだ」と非難しています。

あるネットユーザーは「いわゆる「デマ」とは、武漢の医療スタッフからの警告だった。彼らは関連部門にどうにかしてほしい、全ての人に自分を守ってほしいと伝えたかっただけだ。それなのに…」と投稿しています。

カナダ在住の中国人作家、盛雪さんは、『人物』の記事を読んで心が痛んだと述べています。これは中国の権力機関がウイルスへの対応を誤っただけでなく、もっと深い問題をはらんでいるためです。

カナダ在住の中国人作家、盛雪さん
「中共は神仏を敬わず、命を軽んじ、因果応報を信じていない。さらに70年間にわたり暴政を敷き、エリートが淘汰される権力構造になっている。そして今、権力行使できる人は、ほとんどが権力と金を愛し、人民と社会を愛してはいない。だからこそ彼らは、良心のかけらも持ちあわせていないようなことがやれるのだ」

盛雪さんは、中共政権は上から下まで政権維持のみを考えており、感染防止や救援、民生措置などは外国に見せるためにやむなくやっており、国内向けにはデマを流して人々を安心させようとしていると指摘します。よって庶民が生死のはざまに追いやられたとしても、役人の目には、彼らが人間には見えないだろうと語っています。

雑誌『人物』の記者は2月17日に初めて関秀麗さんと会ったとき、関さんは腰を下ろすとすぐに「私の涙は枯れ果ててしまった」と吐露したと伝えています。救急外来で22年間勤務してきた関さんは、今回の患者の大量死亡は起きてはならないことだったと述べ、「悔しく、受け入れがたく、心が張り裂けそうだ」と語っています。

あるネットユーザーは、「流行が始まったときに状況をごまかしてきた指導者たちの責任を追及しなければ、死んでしまった民衆が浮かばれない。流行がここまで達した今、非難を免れることはできない。彼らは責任を取る必要がある」と政府の対応を非難しています。

 
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