武漢の「隠れた感染者」は60% 専門家が第二の感染の波を懸念

中共肺炎ウイルスが世界に広まるにつれ、無症状だが他人を感染させる恐れのある「隠れた感染者」はどの程度存在するのかという問題について、各国の研究チームが研究を重ねています。中国の最新の研究報告には、武漢では60%の隠れた感染者がいまだ発見されておらず、2回目の感染拡大が引き起こされる可能性があると記されています。

中国メディアの中国新聞週刊の3月25日号で、華中科技大学公衆衛生学院の鄔堂春(お・どうしゅん)院長の研究チームが、武漢市では少なくとも59%の感染例がまだ発見されておらず、そこには恐らく無症状の感染者と症状の軽い感染者が含まれている可能性があることを突き止めたと報じられました。

報道によると、鄔堂春チームは武漢市衛生健康委員会法定伝染病報告システムの中から、2月18日までに検査室で中共肺炎と診断された25,961の症例データを分析し、これらのデータに基づきモデルを確立して割合を予測しました。これはすでに、現在各国の研究チームが把握しているデータベースの中で最も信頼性の高いものだと考えられています。

この研究は3月6日、医学論文のプレプリントサービス、medRxiv(メドアーカイブ)のウェブサイトで発表されました。総合学術雑誌の「ネイチャー」ウェブサイトも3月20日、鄔堂春チームのデータを引用して報道しています。鄔堂春は、彼らの最も控え目な推定によると少なくとも59%の隠れた感染者がまだ見つかっておらず、彼らが他人を感染させる可能性があるとして「このウイルスが湖北省からなぜこんなにも迅速に広まり、世界にまで拡大した理由が分かるかもしれない」と述べています。

鄔堂春チームは実際の感染症調査を行っていないことから、中国と世界にとって、隠れた感染者に関する問題は感染拡大を制御する上で非常に重要な科学的問題であり、大規模なサンプリングを行う必要があると何度も強調しています。また中華予防医学会の中共肺炎制御専門家チームの姜慶五(きょう・けいご)教授もサンプリング調査の重要性を強調し「可能性があるならば、どんなことをしてもやらなければならない」と述べています。

米国陸軍研究所の元ウイルス研究員、肖恩博士は「武漢は感染の発祥地であり、当局は大量の資源を投入して詳しい調査を行うべきだ。これこそが武漢での操業再開を決定するために必要な医学的根拠だ」と考えています。

米国陸軍研究所の元ウイルス研究員、肖恩博士
「もし本当に中国の(感染者数)データが減少し始めたのであれば、抜き取り検査を開始すべきだ。中国の医療専門家にとって、結局のところかなりの割合の人たちが無症状で感染していることは明らかなことだろう。また、都市封鎖でたくさんの人たちが自宅にいるという状況で、どれだけの人数が新たに感染したのか?これも都市封鎖の有効性を判断するための重要な参考になる」

現在、中国や香港、ドイツなどの研究チームはいずれも、こうした隠れた感染者が強い感染力を持っていると指摘しています。

WHOもその臨時ガイダンスの中で「臨床上の身体的な兆候や症状の有無にかかわらず、検査室で中共ウイルスへの感染が確認された場合」は確定患者であると定義しています。韓国はWHOの症例確定定義を採用しています。

しかし中共国家衛生健康委員会が発表した「中共ウイルス肺炎制御計画」第四版には、核酸検査で陽性となった感染者を「診断確定」と「無症状感染者」の二つに分類し、「無症状感染者」は診断確定リストに記載しないと記されています。

中共衛生部の元高官で、中国健康教育研究所の陳秉中所長
「本来は核酸検査で陽性になった場合は診断確定とすべきだ。だが症状がないのであればカウントしないという。ならばこの隠されたデータは膨大だ。これらの人は全員が歩く病原体であり、行く先々で感染を広めていることになる」

中共当局はすでに、4月8日から武漢の都市封鎖を解除し、市外との行き来を徐々に回復させると同時に企業の再操業・再生産についても正式に発表しています。一方、湖北省蕲春市(きしゅんし)に住む高さんは、調査結果に示されている大量の隠れた感染者について憂慮しています。

湖北省蕲春市に住む高さん
「一月末ごろに病院に行った際に無症状で死亡した子供を見たときから、私はずっと懸念を抱いている。私は今もそうした無症状の潜伏感染者の数が増え続けているのを目にしている。これは非常に恐ろしいことだ。だから都市封鎖が終わっても当面は遠方に出かけるつもりはない」

姜慶五教授は、隠れた感染者数のデータは、流行が再度ぶり返すかどうかに関係していると指摘しています。また肖恩博士は、30%から50%の人が隠れた感染者である可能性があり、すべてが通常の状態まで回復した後に彼らが居住区で動き回ったら、次の感染拡大の波が間違いなく訪れると危惧しています。

中国メディアは、現在湖北省にとどまっており今後北京に戻る必要のある人は20万人に上ると報じています。北京、上海といった大都市は彼らをどのように受け入れるのでしょうか。

 
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