洪水の被災者「ダムの放水で多くの人が流された」=中国・広西

中国南部が深刻な洪水に見舞われています。広西チワン族自治区の被災者によると、ダムが事前に知らせもなく放水したため、全ての家財が流されました。複数の村で停電と停水が続き、多くの家屋が倒壊し、多くの人が洪水で流されましたが、当局は死傷者はいないと伝えています。

広西チワン族自治区の桂林・茘浦市(れいほ-し)では先週、連日の豪雨によってダムの水が急増しましたが、放流によって深刻な水害が発生しました。2本の川が合流する雙江鎮(そうこうちん)では、上流の大江ダムが放流したことに加え、別の小型ダムが決壊したため、近隣の複数の町で洪水が発生しました。

雙江鎮の被災者、陳さんによると、ダムの放流は何の知らせもなかったため、車を含む全てのものが流され、住民も多く流されました。地元の90歳の老人は、これほどの大水害は今までに見たことがないと話しているといいます。政府からの救済は何もなく、6月7日は一日中お腹を空かせ、翌日になってようやくパンと水がもらえたそうです。

広西・茘浦市雙江鎮の被災者 陳さん
「ダムの水がいっぱいになり、放流したがみんなは知らなかった。あまりの勢いにびっくりした。水は3メートルの高さにまで達し、多くの人が流され、多くの人が死んだ。これは報道しない。ある所では十数人死んだ。古い家屋は全部壊れ、年寄りは怪我をして、一部は病院に運ばれた。停電と停水は6日からいまだに続いている」

被災者の王さんは、今回の水害は天災ではなく、人災であり、政府は被災状況を隠蔽しており、救済物資もまったく足りていないと憤慨します。

広西・茘浦市馬嶺鎮の被災者 王さん
「これは人災だ。ダムの放流は知らせもなく、川の両岸が全部被災している。家が水没して、倒壊したりふやけたりしている。行くところもなく、友人宅に泊まっている。上流の村は本当に深刻で、土石流が発生した。死傷者はいないと言っているが、政府が圧力をかけているので、報告していない。私が知っているだけでも数人は死んでいる。一人は同じ村の人で、20代の人だ。洪水に流された」

今回の洪水で、江西省、湖南省、広西チワン族自治区など8つの省で数百万人が被災しています。しかし、中国の官制メディアによる報道はほとんどなく、大手ポータルサイトでも報道はわずかしか見当たりません。

広西チワン族自治区桂林・陽朔(ようそ)県の被災者は、まだ片付けが終わってなく、洪水が去った後も水は濁ったままで、使えないと述べています。

広西チワン族自治区桂林・陽朔県 游さん
「長時間豪雨が続き、ダムの放水の時、道路が水没し、洪水となった。毎年これを心配している。雨が降らないと、水はすぐ引く。でも水がすぐに綺麗になることはない。雨が降ったばかりだからだ」

11日、桂林・霊川(れいせん)県蘭田鄉兩合魚膳泠村の村民がネット上に、地元政府の怠慢で、村民の家屋は毎年水害の被害を受けていると告発しました。この村民によると、祖母が亡くなったばかりで、遺体と棺桶が水浸しになり、葬式のために借りてきたテーブルや椅子、調理器具、電気製品などが全て流されたと言います。

 
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