中共によるウイルス感染情報の隠匿を抗議する声が国際社会から上がり続けるなか、多額の債務を負う一帯一路参加国が、中共に対し債務の減免を求め始めました。中共は一帯一路によって世界への影響力を強めることを意図していましたが、逆に経済、政治、外交面において苦境に立たされています。
国際金融協会(IIF)が5月に発表した報告書には「中国は現在、世界の低所得国に対する最大の債権国となっており、2004年には8750億ドルだった債務残高が2019年には5兆5000億ドルに増加している。この巨額の債務は中共ウイルスの影響で徐々に不良債権化している」と記されています。
ニューヨークタイムズは、一帯一路プロジェクトに参加したパキスタン、キルギス、スリランカやアフリカ諸国が中国政府に対し次々と、今年返済予定の数百億ドルもの返済の再分割や期限延長、免除を求めていると報じています。
同紙によると、中共は今難しい選択を強いられています。再分割や免除を行った場合、中国自身の金融システムが圧迫されて国民からの強い反発が予想されるが、引き続き返済を求めた場合、世界への影響力を強めるという目的が損なわれる可能性があるためです。
米UCLAアンダーソン・スクール・オブ・マネジメントのエコノミスト、俞偉雄氏
「中国政府は今ジレンマに陥っている。これらの国は一帯一路によって経済的利益を上げることができず、疫病が発生しなくてもすでに返済が難しくなっていた。疫病がこのように深刻化した今、物事が中断するのは仕方がないことだ」
報道によると、アフリカで経済成長が最も早いとされるエチオピアは、中共に対し一部債務の免除を要求し、またアフリカ諸国を代表して、交渉において主動的役割を果たしています。
清華大学の副校長、楊斌氏
「中共は、債務を減免しなければ今すぐそれを回収できるのだろうか?一帯一路は金の無駄だ。すべて中断している。減免と言えば聞こえはいい。国際的にこれほど孤立しているのだ。彼らに(中国を)支持させ、このチャンスに彼らを利用し、金で名声を買い、それをニュースで広めればよい」
報道によると、過去20年間の間に中共は、借入国の港や鉱山、その他希少資源を抵当に世界で融資を行って、途上国に数億ドルもの債務を負わせています。
中共の融資は先進国や世界銀行が発展途上国に対して行う融資とは異なり、利息が高く、満期が短い傾向にあるため、借入国は数年おきに借り換えを行う必要があります。
清華大学の副校長、楊斌氏
「一帯一路の評判は悪い。一帯一路はすべて弱小国家に対してのもので、本来ならこれらの資金の回収は容易ではない。彼らはもともとこれを口実に他国の土地や港を占有しようと考えていた。常にこれを口実に他国の何らかの主権を手に入れようとする。だからこれらの国はこれを機に債務を減らそうとしている」
今年の4月にパキスタンの首相は、先進国と国際機関にすべての途上国の債務を減免するよう求めました。
その2週間後、中国を含めた20か国が、今年の年末まで世界最貧国のすべての債務を凍結することを発表しました。
一帯一路プロジェクトは利益が上がらない場合が多く、納税者に重い負担をかけているため、中国の一部の人々が、彼らの血と汗で稼いだ金が国外で浪費されていることに疑問を持ち始めているとも報じられています。
清華大学の副校長、楊斌氏
「この金は回収が難しい。アフリカには1000億ドル以上、欧州はさらに多く1兆億ドル以上だ。彼らが言っているのは『借金はあなた方の賠償によって相殺ということにしよう。賠償の理由は疫病だ』このような理屈だ」
清華大学副校長で経済学者の楊斌(ようひん)氏は、中共はジレンマに陥っていると考えています。
清華大学の副校長、楊斌氏
「彼らは今ジレンマに陥っている。多くの左派から『売国だ』、『妥協した』『軟弱だ』と批判されるため強硬姿勢を取る必要があるが、すべて自分で蒔いた種だ。一帯一路借款の減免は彼らにとっては些末なことだ。重要なのはウイルスに関する責任問題、米中関係の問題、さらに台湾海峡問題などだ。いずれもこれより重要だ」
楊斌氏は「これらの借款を減免しなくてもそれが庶民に使われることはないので、庶民は気にかけないだろう。上層部の場合は中共の政治闘争が激烈化しているため、当局はこれらの国との交渉を諦めて内部闘争に時間を割くしかない。そのため一帯一路の債務が減免される可能性は極めて高い」と分析しています。