数週間前から睨み合いが続いている中国とインドの国境で再度衝突が発生しました。インド軍は6月16日、少なくとも 20 人のインド人将校と兵士が中共軍との衝突で死亡し、中国側も多数の死傷者を出していると発表しました。
インド軍は16日、15日に両国の係争地域であるラダック地方のギャルワン渓谷で両軍が衝突し、インド軍の将校1名と兵士2名が死亡したと伝えました。後に追加声明で、重傷を負った17名の兵士が死亡し、死者数は20名となったと発表しました。
中共軍も犠牲者が出ており、ニューデリーの通信社「ANI」によると、中国側は43人が死亡もしくは重傷を負いました。
1970年代以来、両国軍の衝突で死者が出たのは今回が初めてです。インド軍は、両国の軍の高官が状況を緩和させるために会談を始めたと述べました。
中共外交部 趙立堅報道官
「私はあなたの・・・関連情報をまだ知らない」
一方、中共外交部の趙立堅報道官は同日、この事について「まだ聞いていない」と述べましたが、のちに「インド側が15日に二度国境を超え、中国側を挑発し攻撃したため、深刻な身体的衝突を招いた」と主張しました。
官制メディア「環球時報」の記者は当初、中共軍は今回の衝突で5人が死亡し、11人が負傷したとツイートしましたが、すぐに「当局がまだ死傷者を確認していない」と、前言を覆しました。
インド防衛専門家 D. S. ディロン氏
「我々は政府が即刻介入し、外交行動を取ることを望む。1962年のようなことが起きるのを防いでほしい。小さなことが大きくなると、さらなる行動を取るしかない」
今年5月から、中印国境では緊張が高まっています。今回衝突が発生したギャルワン渓谷からパンゴン湖までの一帯では、1962年に国境問題を巡り、両国間で軍事衝突が発生しました。
インド外務省は16日、今回の衝突は「中国側による一方的な現状変更の試みの結果だ」と表明し、中国側を非難しました。
ここ数週間で、中国・インドともに国境紛争地帯に数千人の軍隊を集結させています。今回の衝突で死傷者が出たことで、緊張がさらに高まる可能性があります。