豪州戦略政策研究所の最新レポートにより、中共が中国人男性からDNAサンプルを採取して世界最大のDNAデータベースを構築したことが明らかになりました。中共はこのことで人権とプライバシーを侵害しただけでなく、政治的迫害をさらに加速させていると指摘する声もあります。
豪州戦略政策研究所が6月17日に発表した報告書によって、中国の31の省級行政区域の少なくとも22か所で大規模なDNA採取が行われたことが明らかになりました。
報告書によると中共は2017年末から成人男性と未成年の男性のDNAサンプル収集に着手し、中国国内の男性人口の5%から10%に相当する、合計3500万件から7000万件のデータを収集しました。また当局はデータが収集された男性らに対し、サンプル収集の理由も、その用途も明らかにしていません。
元大連市公安局の職員 劉暁斌さん
「このビッグデータだが、2017年に公安部が開催した会議で、部レベルの全国ビッグデータプラットフォームを構築する必要があると提起されたことを覚えている。このプラットフォームは、指紋や顔認証、声紋、話すときのイントネーションや電話番号など、多くの個人情を収集するものだ。そしてその中の一つがDNA情報だった。DNAはプライバシーにかかわり、個人の遺伝子情報が含まれている。それを『はい どうぞ』と差し出す人がいるだろうか。国や政府機関、もしくは秘密機関にそれらを把握させる?ありえない。そんなことを望む人など誰もいない」
報告書には、中共は男性のDNAサンプルだけを収集したと記されています。その理由は、父親から子供に受け継がれるY染色体データベースがあれば、ある男性の血縁者の基本的な特徴情報を入手したい場合、一人のサンプルさえあれば血縁者を追跡できるためです。
例えば河南省で、中共が現地の男性住民の10%のDNAデータを収集して家族の遺伝子地図を作製した結果、現地の98%の住民に対する遺伝子モニタリングが可能になりました。
元大連市公安局の職員 劉暁斌さん
「当初新疆から伝わってきた。彼らは新疆の強制収容所で大規模なDNA血液情報を収集した。DNAには現在、遺伝子兵器(という用途)があるからだ。例えばDNA情報は民族によって異なる。これが遺伝子兵器に使用される場合、あるいはある人種を絶滅させようとする場合、このDNAデータが非常に役立つ」
豪州のシンクタンクは、中共が広範に採取した男性のDNAサンプルによって、将来的にその情報をさらに多くの家系図と照合し、政府が目星を付けた反体制派の家族を探し出して弾圧することも可能になると指摘しています。これは、中国の民衆がより厳格な監視下に置かれることを意味しています。
中共の法律では公安機関が入手したDNAサンプルの用途は特定の刑事事件の調査に限定されていますが、中共の行っている大規模なサンプル採取はこの法律に違反していると報告書は指摘しています。
元大連市公安局の職員 劉暁斌さん
「中国には、中共が国を挙げて行っている生きた人間からの臓器強制摘出を行う巨大な産業利益チェーンが存在している。彼らが大部分の人間のDNAを採取したら、中共のこれら利益集団が何らかの臓器を必要とした場合、DNAからその個人を完全に特定でき、その人に何らかの罪を着せたりして臓器を摘出できるようになる。本当に恐ろしいことだ」
豪州シンクタンクの報告書には「国民のDNAサンプルを大規模に収集するというこの種のやり方は、プライバシーを侵害するだけでなく国際的な人権規範にも違反している。特に中共政府がDNAデータベースとその他の監視ツールを合わせて使用した場合、治安維持の名のもとに中共政府が監視力を高め、国内弾圧をさらに強めることができるようになる」と記されています。
ハーバード大学医学部博士 李祥春医師
「この問題はプライバシー問題よりもはるかに大きい。中国人はみなすでに中国の巨大な刑務所に収容されていて、いつでも殺して使用することができるに等しい。我々が以前に収集した資料、つまり臓器移植分野の中国人医師が発表した論文から我々が収集した3000余りの論文によると、いわゆる『ドナー』について厳格なグループ化が行われている。ドナーの94%以上が男性で、しかも若者なのだ」
豪州シンクタンクは、中共はDNAサンプルの収集を直ちに停止し、犯罪歴のない市民のサンプルを破棄するよう求めています。
また報告書は、プライバシーに関する国連特別調査員は、中共政府の収集したDNAデータと遺伝子モニタリングの違法性について詳細な調査を行うよう提起しています。
ウォール・ストリート・ジャーナルは以前に、中共警察は2020年までに全国のDNAデータベースを1億件に倍増させることを計画していると報じています。この目標を実現するためには、中共は米国が20年かけて構築した全国データベースとほぼ同じ数のデータを毎年収集する必要があります。