6月中旬に湖南省寧遠県で発生した蝗害に続き、農業大県である広西チワン族自治区桂林市全州県でも最近、広範囲で蝗害が発生しています。被害を受けた農家によると、現地での蝗害は初めてで、農作物に大きな被害が出たが、政府は救済措置を行っていないとのことです。
近日、全州県でサバクトビバッタ がはびこっている様子を撮影した動画や写真がネット上に複数アップされました。農作物だけでなく、農地の柵や網、人の服にまでびっしりとバッタだらけになっており、撮影者は「恐ろしい」と叫んでいます。
桂林市紹水鎮で農家を営んでいる趙さんは、地元での蝗害は今回が初めてだと述べます。蝗害発生からすでに10日間経ち、農民は大きな損失を被っているものの、政府は救済措置を行わず、一度農薬を撒いただけだといいます。
桂林市全州県紹水鎮農民 趙さん
「ここでは蝗害が広範囲で発生している。バッタはなんでも食べ、農作物は葉が全部なくなっている。柑橘やとうもろこし、イネ、青菜などを植えているが、損失が大きい。柳の木まで食べ尽くした。やりなおすしかない。ゆっくり回復するしかない」
現在、全州県の複数の地域で(紹水、安和、石塘、廟頭などの鎮)蝗害が発生しており、その中でも紹水鎮の被害が最も酷く、草木や農作物に深刻な被害が出ています。
安和鎮の農民の梁(りょう)さんは、一回の農薬散布でイナゴは減ったが、完全に根絶できたわけではないと述べています。
桂林市全州県安和鎮農民 梁さん
「穀物や木の上に多い。木の葉や柑橘の葉、稲を食べる。川辺にもいる。ドローンで薬を撒いた。鎮政府から一回来て撒いたが、少しだけましになっている」
紹水鎮の農民、陽さんは、今年は洪水の勢いが非常に小さく、干ばつもなかったが、一晩でバッタが爆発的に発生し、沿河村が深刻な被害を受けていると語りました。
桂林市全州県紹水鎮農民 陽さん
「ここは柑橘栽培がほとんどで、自然村が一つある。それが全州県紹水鎮沿河村だが、十数ムーがバッタに食べ尽くされた。どこから来たのかは、我々も分からない」
6月中旬には、もう一つの農業大県である湖南省永州市寧遠県でも蝗害が発生しました。バッタが住宅の庭を這い回っていたため、住民は窓も開けられない状況が続いていました。また、6月上旬には、東北部の農業大省である吉林省や黒竜江省の複数の市や県でも大量のバッタが発生し、その密度は1平方メートルあたり最大50匹に達していました。