米メディアによると、中共当局とイランは経済や軍事、貿易など様々な分野をカバーする秘密協定を計画しています。この協定に基づくと、北京はイランのインフラへの影響を高め、低価格で石油を入手することができ、双方の軍事協力も強化されることになります。一方、専門家は中共とイランが同盟を結んだ場合、米国からさらなる打撃を被るだろうと考えています。
ニューヨークタイムズが入手した文書に、中共がイランと有効期限を25年とする秘密協定を計画していると記されています。この協定では軍事、貿易、投資などさまざまな分野がカバーされており、文書の日付は今年6月で、「最終版」とも記されています。
協定には、中共はイランの港や鉄道など複数のインフラ建設への影響力を高め、低価格でイランの石油を入手し続けるとあります。両国はさらに、合同軍事演習や兵器の研究開発、情報の共有など、軍事面でも密接に提携することが予定されています。
この秘密協定は対外的には未公開でイラン国会にも提出されておらず、中共当局がこれに署名したかどうかも明らかになっていません。
イランのザリーフ外相は、この提携計画は北京から2016年に提起され、今年6月にルーハニ大統領の承認を得たと以前に明らかにしています。
一方で、イランの各政治派閥の批評家は、経済制裁が行われて外交的に孤立し、軍事的緊張が続く中、ルーハニ大統領は国家秘密を中共に「売却」する準備をしているのではないかと懸念しています。
アフマディネジャド前大統領は6月下旬に行われた演説で、中共との秘密取引は疑わしい面が多く、イラン国民は永遠に同意しないと批判しました。
イラン政府は文明世界との対立やテロの支援、核兵器の研究開発により、国際社会、特に米国から長年にわたり経済制裁を受けてきました。
米国在住の政治経済アナリスト、秦鵬さんは、米国の制裁によってイランは絶望的な状況に立たされており、経済利益と政権、およびイラン革命の継続的な拡大のため、イラン政府は中共に頼って、この国辱的な条約を受け入れることを選択したと考えています。
米国在住の政治経済アナリスト、秦鵬さん
「イラン当局は、中共にかなりの程度コントロールされており、売国の疑いをもたれている。共産党がソ連一辺倒だったころに少し似ている。よって米国からさらに大きな打撃を被る可能性がある。中共にとっては、実際のところそのような問題があるため、早い段階でこれを明るみに出したくなかっただろう」
この協定では空港や高速鉄道、港湾の建設工事や5Gインフラ、イラン政府によるネット検閲システム「グレートファイヤーウォール」の構築など、100項目に近い投資プロジェクトが打ち出されており、投資総額は4000億ドル(約6兆600億円)を上回ります。
米国在住の時事評論家、唐靖遠さん
「中国とイランは表面的には一種の政治的同盟を結んでおり、経済面では相補互恵の関係にあるが、実際のところは中共が、長年にわたり制裁を受けてきたイランが空前の孤立状態という困難の中にあることを利用して、イランを手中に収めて操ろうとしている。最も分かりやすい例が、中共が一帯一路というエサを撒いて、それから交換条件として戦略的価値の高いイランの2つの港を手に入れようとしていることだ」
国際社会が制裁を継続する中、イラン政府に経済、外交、軍事分野で支援を提供する国は中共しかありません。
米国在住の時事評論家、唐靖遠さんは、中共が協議に基づきイランに対する巨額の投資を行えば、間違いなくより多くの中国企業が巻き込まれ、米国の制裁対象になるため、これも中共政権に対するトランプ政権の強烈な打撃となるだろうと考えています。
米国在住の時事評論家、唐靖遠さん
「トランプ大統領の就任後、米国はイランに対し継続的に非常に厳しい制裁を行っている。中共はこの協議の中でかなりのことを行っており、すでに米国の制裁に違反している疑いがある。以前に複数の中国企業がイランと違法な取引を行って制裁に違反したとして、米国から制裁を受けたことがある。この点から見ると、中共は米国の対イラン制裁を破壊し、イランの核開発計画を陰で推進する最大の黒幕だ」
さらに評論家は、イランと同盟を結んだ場合、米国から大きな打撃を被るほか、中共が中東地域で行っている外交政策全体も大きく損なわれる可能性があると指摘しています。
何十年もの間、中共はイスラエルから高度な軍事技術を入手してきましたが、そのイスラエルの最大の敵がイランであるため、中国とイランが手を結んだ場合、イスラエルが疎遠になる可能性があります。さらに同様の状況がサウジアラビアを筆頭とするスンニ派諸国との間にも発生して、中共がこれらの国とのビジネスチャンスを失う可能性もあります。