【アメリカ・アンカバード】アンティファの歴史

抗議デモが暴力化。その裏にはアンティファがいるかもしれません。アンティファとは何?一体どこから来ているのか?アメリカ・アンカバードへようこそ。クリス・チャペルです。

アンティファは暴動と略奪で非難された集団の一つ。この3週間、全米で抗議デモが起きていますが、アンティファとはつまり何なのか。何故この数週間頻繁に耳にするのか。それはある意味、KKKの反対のようなものだと思われるかもしれませんが、アンティファはアンチファシストの略です。彼らは自らを明らかな人種差別主義であるKKKに対抗する、反ナチス、反人種差別主義であると言います。しかしアンティファは、反対勢力というよりも、極右であるKKKの極左版とも言えます。

アンティファの構成メンバーは非公開です。彼らは黒い服をまとい、顔を覆い、政治的目的を遂行する為に暴力的戦術を正当化しています。これは特定の誰かを中傷するものではありません。何故なら、アンティファに関わる多くの活動家は、アンティファは実在しないと言うからです。アンティファのウェブサイトによると、アンティファは組織ではなく、会員も、会議も、会費も、ルールも、リーダーも、組織体系もありません。これは文字通りアイディアであり、それ以上のものは何もありません。

待て。アンティファは組織ではなく、組織体系もないって?では誰がこのサイトを運営しているのか。“About US”のこのサイトの運営者を見てみると、“あなたには関係ない”。まあ、いいさ。

アンティファは実在しないが、実在したとしても我々には関係ないと。しかしもう一つのアンティファ、オレゴン州ポートランドの「ローズシティ・アンティファ」とは何でしょう。ウェブサイトには、2007年10月に設立されたと書かれています。ということは、彼らは組織ですよね。まあ、これは複雑な話です。

アンティファの反ファシスト手引きの著者、マーク・ブレイによるとアンティファは、共産主義者、無政府主義者、社会主義者、その他の急進派による、極右との闘争に適応した非自由的な政治または社会革命活動である過激派反ファシズムの一部で、その歴史は、1920年代に開始したとみられる複数のウェブサイトよりもずっと前に遡ります。元アンティファメンバーによる、ドイツの小冊子“アンティファ80年間の活動”によると、アンティファの思想は元々、1921年にモスクワで開催された第三回世界会議の間に、ソビエト連邦の統一戦線から来ました。そしてソビエト連邦のその思想は、1930年代のドイツのアンティファに進化しました。その名称は、ドイツの反ファシスタ何とかから来ていて、アンティファと略されました。

社会主義雑誌JACOBINによると、アンティファはヒトラーが政権を握る少し前に構成され、彼を止めようとしました。1932年に彼らは、共産主義と社会民主主義労働者の間に、超党派の同盟を設立するため、最後の試みで「アンティファ」という言葉を使った戦前の統一戦線戦略のスローガンと方向性を採用しました。

これは1932年にドイツで開催されたアンティファの会合です。この運動はナチスによって直ぐに潰されました。そして1945年、同盟国がナチスを制圧した後、アンティファはヨーロッパ各地で渡り再び集まり始めました。しかし同盟国には既に、対処するべき相当な数の共産主義者がいました。よって米国と英国は、より穏健なリーダーによるヨーロッパ再建を求め、アンティファを潰しました。同時にヨーロッパの共産主義国家も、アンティファを潰しました。共産主義国家は面白いことに、他の共産主義者があまり好きではなく、自分達の為にアンティファブランドを利用することを望みました。例えば共産主義の東ドイツは、ベルリンの壁を反ファシスト保護バリアと呼びました。

そして1980年代、ドイツでネオナチズムが復活し、それに応じて新たなアンティファのような集団が形成されました。1980年代後半、ヨーロッパには、ネオナチのスキンヘッドと闘った、レッド・ウォーリアーズという過激な左派集団がいました。そして反資本主義の自治政治団体もネオナチと闘いました。彼らはブラックブロックとして知られる戦術を思い付きました。彼らは、バイクのヘルメット、目出し帽、マスク等で顔を覆い、全身黒づくめで揃えユニフォームにしました。匿名の革命家集団らは時に、旗竿、こん棒、銃砲弾、火炎瓶等の武器で過激な行動を実行する覚悟が出来ていました。

そして1980年代の米国で、人種差別がファシズムよりも差し迫った脅威に見えました。90年代後半から2000年代前半、資本主義やグローバリズムの対立集団のようなアンティファもおり、ブラックブロック戦略が用いられました。例えば1999年の、世界貿易機関に対するシアトル抗議運動の時です。これら極左反ファシスト集団の最新の姿が、私たちが今、アンティファと呼ぶ集団です。これは2017年カリフォルニア大学バークレー校内で暴動を起こす直前のものです。これは数週間前、ボストンで起きたジョージ・フロイドの抗議運動にもアンティファがいました。そして見ての通り、現代アンティファの旗はドイツの反ファシストが元になっています。

1930年代アンティファはイタリア、スペインもちろんドイツにもヨーロッパ中にいました。しかしこのようにアンティファの歴史を語るには根本的な問題があります。全ての反ファシスト集団は、反ファシズムという同じ原則を持つが、単独でも継続的組織でもないからです。アンティファの支持者マーク・ブレイ著の、アンティファの反ファシスト手引きによると、様々な解釈があるにも関わらず、アンティファは単一運動として理解されるべきでなく、むしろ、これは単に広く解釈される革命的な社会主義政治の多くの現れの一つに過ぎません。よりマルクス主義のグループもあれば、より無政府主義や反権威主義的で、どのアンティファも、ファシズムと見なすものに反対していると言われるが、ファシズムとは一体何でしょう。

アンティファの反ファシスト手引きによると、ファシズムは明確に定義することが難しいと言われています。よって著者は定義する代わりに、歴史家のロバート・パクストンの言葉を引用しています。彼はファシズムは、地域社会の衰退、屈辱、犠牲への強迫的執着と、統一性、エネルギー、純潔の代償カルト集団によって特徴付けられる政治的行動の一形態であると定義しています。伝統的な精鋭を持ち、不安定ながら効果的にタッグを組み、献身的な民族主義的過激派の集団基盤の党が、民主主義的自由を放棄し、贖罪的暴力で、倫理的あるいは法的な制約を受けずに、内部浄化と外部拡張の目標を追求します。

なるほど。色々続いていますが、これは民主主義の自由を放棄しようとし、対外拡張に焦点を当てている政府やリーダーにかなり限定しているようです。今の米国の、正確な描写ではないようです。つまり、トランプ大統領は、ソーシャルメディアでさらなる言論の自由を求めて叫んでいました。そして米国の終わりなき闘いと、米軍が他国で警察の役割をする事にも反対しています。トランプ嫌いなVOXでさえも、5人の専門家は、彼はまさに右派のポピュリストだといいます。しかしトランプが米国の民主主義制度の廃止とそれに代わるある種のリベラルな新体制を提唱しない限り、彼は厳密に言えばファシストではありません。

しかし心配はいりません。何故ならアンティファは対抗するため、ファシズムの広義の定義を述べるに過ぎません。例えば警察は皆ファシストだと、いや、彼らは違う・・・。そう、彼らです。ファシストは資本主義です。アンティファは反資本主義です。何故なら明らかに共産主義は都合が良い為です。

共産主義下では、警察国家はありません。まあ、いいでしょう。ファシズムの定義について不明瞭な点もあります。しかしアンティファはファシズムを、大半の米国人が定義するよりももっと広義に定義しています。そしてこれをさらに複雑にするのが、アンティファは反ファシズムと主張する一方、他のアンティファも、全てにおいて同じである必要はありません。著者のマーク・ブレイは、他の派閥に対する優位性はある程度、グループの旗のロゴで見分けることができる。赤旗が黒旗の前にあるか、或いはその逆か、或いは両方とも黒か、と書いています。あるいは、2つの旗の1つを民族解放運動の旗に置き換えたり、黒旗はフェミニストのアンティファを表す紫旗や、クィアのピンク旗と組み合わせることができる等。

素晴らしい。旗から目が離せません。アンティファのロゴを北朝鮮の国旗に付けたらどうでしょう。親北朝鮮になりますかね。何故なら北朝鮮は共産主義で、米国の帝国主義や反北朝鮮に対抗しているし、彼らもまた警察国家ですから。とにかく米国では、80年代後半の反人種差別運動(ARA)による現代アンティファが出現して以来、近年はほとんどのアンティファは無政府主義者や反独裁主義者でした。

2016年オバマ政権の報告では、国土安全保障省は米国の無政府主義者、過激派による暴動は大抵、反資本主義、反警察主義そして社会正義の味方であると結論付けました。そして、それら全てが2017年トランプ大統領の就任に繋がります。アンティファはトランプを祝福し、彼をファシズムの化身と見ています。FOXが指摘するように、彼はそうではありません。2017年1月のトランプの就任式の日、アンティファの活動家が、白人主義のリチャード・スペンサーを殴りました。2月、バークレー校で、アンティファを含む抗議者が、保守派マロイ・ヤノポロスの講演を暴力で阻止しました。3月、バーモント州で、アンティファの抗議者が保守派の政治学者チャールズ・マレーを暴行しました。8月、バージニア州シャーロッツビルで、アンティファの抗議者が、白人主義者と、右派の集会に参加した右派抗議者らと対立しました。

それは2017年のことで、困難な年でした。とにかくアンティファは無政府主義者で構成されているため、国はファシズムと人種差別に加担していると考え、信用していません。彼らは直接的行動を好みます。白人至上主義の集会を邪魔するため、開催地に圧力をかけたり、雇用主に彼らを解雇するように、家主に彼らを追い出すように圧力をかけたりします。そして人種差別やファシストと見なす人々が集まろうとすると、アンティファの支持者らはそれを暴力を使っても阻止しようとします。アンティファの見解では、白人主義はファシストであり、止めるべきです。しかし主要な無政府主義運動のメンバーとしては、どのファシストも政府に白人至上主義の集会を止めてほしくはありません。政府を無力化するために、彼らはそれを自分達でやりたいのです。

2020年、ライダーは時にジョージ・フロイド抗議の終わりにやって来ます。彼らは、放火や器物破損により国と地方政府を無力化したアンティファの一部に過ぎないかもしれません。シアトルでは、アンティファに限らず抗議者らが、キャピトル・ヒル占領抗議(CHOP)を作りました。ここはある種、無政府主義の楽園です。いや、先週末ここで撃たれたこの二人にとっては楽園ではありません。この警察が入り込めない地区では、ピューレットサウンド・ジョンブラウン・ガンクラブが巡回しています。彼はアンティファの武装派と言われてきた左派民兵をそのままにしました。詳しくは「CHOP内の攻撃」をご覧ください。

ファシズムとの闘いでは一般的に、これらの暴力的戦術が用いられるようですが、アンティファの抗議者は、まさに問題になっていると非難もされてきました。左派の有識者ノーム・チョムスキーは、アンティファは右派への大きな贈り物だと言います。何故なら暴力的戦術や言論の自由の遮断を批判されるためです。それらは、アンティファが沈黙を望んでいる人々に更なる注目と支持をもたらします。チョムスキーはアンティファを自己壊滅的ともいいます。政治的には、アンティファは自由主義ですよね。彼らは彼らがファシストだと思う人々が言論の自由を持つことを望んでいません。アンティファは暴力を使うのは正当防衛だから正当化されていると言います。

アンティファのすること全てが暴力的と言うわけではありません。彼らは集会を組織したり、オンラインで白人至上主義だと思う人々の個人情報を暴露したりします。アンティファは単一の歴史をもつ、単一の組織ではなく、互いに連絡取っているのか、会員制なのかも分からない、分散した緩い連合軍です。2007年頃からあるローズシティ・アンティファ。「我々アンティファ」のサイトに、誰がこのサイトを運営しているのか?に対して、「あなたには関係ない」と。

あなたの意見をお待ちしております。アメリカ・アンカバード、クリス・チャペルでした。ご視聴ありがとうございました。

 
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