ここ2か月、中国各地は洪水やバッタ、ペストなど様々な災害に見舞われ、下半期の食糧危機の可能性が懸念されています。一方、中共国家統計局は、今年の夏の穀物生産量は今年の洪水同様、過去最高を記録し、豊作であると発表しました。
今年5月下旬以来、中国長江中下流地区、淮河流域、西南、華南及び東南沿海地域などで、大雨による洪水が続いています。7月中旬までに、計433本の河川で警戒水位超過以上の増水が発生し、うち109本が保証水位を超え、33本は史上最高水位を超えました。
洪水によって農地が冠水し、農家の苦労が一瞬のうちに無駄になってしまいましたが、中国の官制メディアは、農民は「大局のために、小さな個人を犠牲にした」と喧伝(けんでん)しています。
安徽省の農民、趙さんは、地元では当初は干ばつが続いていたが、間も無くして水害がやってきたと話しています。
安徽省の農民 趙さん
「私たちの地域では、今年の春は干ばつで、小麦の収穫は去年ほどではなかったが、今年の秋は厳しい。小麦の収穫の後にすぐ梅雨入りしたので、とうもろこし畑のほとんどが冠水した。私たちの地域では、豪雨で作物が全部水没した」
湖南省の農民、何(か)さんは、トウモロコシと大豆が全部洪水に流されたが、政府は何の措置も取っていないと述べています。
湖南省の農民 何さん
「洪水で全部流されてしまった。トウモロコシと大豆を植えたが、洪水は容赦ないので、手の打ちようがない。政府は何の措置も取っていないようだ。来年になって考えるしかない。どうしようもない場合、外に出て物乞いすることだ」
何さんによると、通常は穀物の備蓄はあまりしないといいます。しかし今年は水害が深刻なうえ、政府が何の対策も打っていないため、みな悩んでいると述べます。
湖南市農民何氏
「湖南省、湖北省や河南省、山東省や安徽省も同じで、雨が降ると、穀物は成長できない。仕方がない。今日植え直して明日は腐る。5〜6回植え直しても、何も残っていない」
東北部のハルビンでも、農家の苦労は同様です。22日昼ごろ、強風と雷雨、ヒョウに見舞われ、多くの農作物が折れて大きな被害が出ました。
ハルビン市在住の廖氏
「今回の雹の被害に遭った地区では、トウモロコシが全部倒れた。つまり、今年は収穫が絶望的だろう。黒竜江省は寒帯気候に属しているため、冬の気温は非常に低く、作物の栽培には適してない。つまり、9月に植え付けを開始し、成長期間が足りないと実らない」
水害、干ばつ、雹害だけでなく、バッタの発生も大きな被害をもたらしています。広西省の農業大県では、バッタの大群が現れて農作物を食べ尽くしました。このトウモロコシ畑を見てください。実入りのよいトウモロコシの穂にバッタがいっぱい止まっています。農民が棒で叩くと、バッタが一斉に飛び上がり、空を覆っています。
中国各地では様々な災害に見舞われ、さらには拡大が続いています。下半期には食料危機が発生する可能性があり、外界から注目されています。一方、中共農業農村部は、豊作が続いているため食糧の在庫は十分あり、さらに今年の夏穀物は史上最高の豊作だと発表しました。
7月16日、官制メディアの「人民日報」は、夏の穀物の生産量は1428億キロに達し、12.1億キロの増産で、前年同期比0.9%増となり、史上最高を記録したと報じました。
7月26日、「新華網」は「食を政務の最も重要なこととし、食糧を天下に安んずる」と題し、習近平主席が食糧生産地の吉林省を視察したときの講話を掲載しました。この報道に対しネットユーザーは、習近平は中国は間も無く食糧難に見舞われることを天下に知らせたと解釈しています。
7月27日、香港紙「東方日報」は、中国大陸では2か月近くにわたって豪雨が続き、多くの地域で浸水や雹などの自然災害の影響を受け、多くの農地が被害を受けていると報じました。山東、河北、山西、甘粛など六省だけで69万8千ヘクタールの農作物が被災し、うち18万9千ヘクタールは収穫が絶望的で、直接的経済損失は96億6千万元に上るとしています。報道によると、最近中国が米国のトウモロコシや大豆を大量に購入しているため、中国の食糧問題に注目が集まっています。
ロイターによると、中国は米国のトウモロコシと大豆を大量に購入しており、7月16日の1週間は、最高の週次販売量を記録し、近年では最高レベルに達しています。