米スタンフォード大学のフーバー研究所が先日発表した白書に、中共が「白と黒の2つの方法」を使って、国際社会を洗脳していると記されています。評論家は、米中が対立している今、米国の学会がこのような認識を持っていることは重要な意義があると指摘しています。
スタンフォード・インターネット・オブサーバトリーとフーバー研究所は7月21日、白書『中国の話を語る:グローバル・ナラティブを形成するための中国共産党のキャンペーン(Telling China’s Story: The Chinese Communist Party’s Campaign To Shape Global Narratives)』を共同で発表しました。作成者はスタンフォード・インターネット・オブサーバトリーの技術研究マネージャー、レニー・ディテスタ、ワシントンポスト北京支局の前局長、ジョン・ポンフレットら五人です。
白書によると、中共が国内と国外に向けて行うプロパガンダは、中共宣伝部と統一戦線部の二つによって行われ、これらは非常に強力で、従来のメディアからSNSまで幅広く利用しています。同時に中共はこうしたプロパガンダメカニズムを利用して、国内では権力の掌握を強化しながら、世界における指導的地位の確立を目指しています。
時事評論家の田園氏
「中国の大プロパガンダには二つの側面がある。一つは、中共のいわゆる経済建設の成果を、国外にまで誇示すること。もう一つ、この大プロパガンダには、『輸出用製品を国内販売に切り替える』ことも含まれる。中国のどこかの分野で業績が上がったという情報を、海外の中国メディアで報じさせてから、『輸出用製品を国内販売に切り替える』ように中国国内に戻すのだ」
白書にはさらに、中共の宣伝活動にはオープンな活動と地下活動があることも記されています。テーブルの上では中共の対外宣伝機関である新華社、中央電視台、CGTN(環球電視網)、人民日報、環球時報、中国日報、中国網などがツイッターやフェイスブック、ユーチューブ、インスタグラムなどに公式アカウントを開設し、中共のイデオロギーを宣伝して中共の思惑を国際社会に広めるために、莫大な資金を投じている一方、テーブルの下では大量の「五毛」軍を中共プロパガンダの応援団として、動画やコメント欄に投入しています。この「白と黒の二つの手段が協力して、自由なメディア環境で人々を惑わし、国際社会を洗脳しています。
中国問題ウォッチャー 張健さん
「シンクタンクが発表した白書によって、米国と知識層は中共の邪悪さを徹底的に認識できるのだということが証明された。米中の国交樹立以来、米国の知識エリートのほとんどは、この種の伝導方式によって中共の邪悪な政権を賛美してきた。今、彼らはこのように邪悪な独裁政権、悪魔の政権を賛美することは最終的に全世界の人たちに害を及ぼす行為だということに気がついた」
白書の作成者は、中共が海外に勢力を拡大するため数十億ドルを投じており、新華社は世界最大の新聞通信社になったとも述べているほか、人民日報は一期25万ドルの高値でワシントンポストに折り込まれ、米国の読者に渡ると述べています。また、中共は直接的又は間接的な投資によって、世界各国の中国語メディアを買収しているとも指摘しています。
白書にはさらに、中共はすでに「白と黒」の二つのプロバガンダスキルを向上させており、外国のエージェントを通じて国際世論を自国に都合のよいように誘導することもできると記されています。
例えば、1952年の朝鮮戦争のときに、中共は米国が細菌戦を始めたというデマを流し、この嘘を国際社会の多くの人が信じるまで広めました。
大衆を惑わすためにうわさを流すという手段は、中共がよくやる宣伝戦略です。香港で一年以上行われている抗議活動でも、中共は海外のSNSを通じて、抗議活動参加者を中傷誹謗するデマを数多く流しました。
2018年の台湾地方選挙でも、中共は公開プロパガンダと秘密裏にデマを流すという二重作戦によって、選挙結果を左右しました。
今年起きた武漢ウイルス大流行の際にも、中共は政府メディアやユーチューブのほか、ツイッターアカウントも開設している著名な政治家を利用して、米国がこのウイルスを製造して武漢に持ち込んだと投稿させました。この情報はほんの数日で世界中に広まりました。
時事評論家の田園さんは、中共の海外向けプロパガンダが大きな成功を収めたことで、中国人はおろか、国際社会の多くの国が騙されてしまい、彼らのシンクタンクやメディアもこれに抵抗できず、無数の西側の人間が騙されていると指摘しています。
時事評論家の田園氏
「中共のトリックを体系的に認識できる人はそうはいなかった。大学を含む米国の学会が、中共の外部向けプロパガンダについて系統的で非常に詳細な分析を行ったのは、これが初めてだ」
田園さんは、この白書は米国の学会が目覚めたしるしではないかと考えています。
田園氏
「トランプ大統領の就任後、中共のこうした戦略を完全に暴露するために大統領が一つ一つ着手してきた様子を誰もが目の当たりにした。この状況において、米国の学会やその他の思想界で、ようやく一部の人がゆっくりとそれに同調し、ゆっくりと目覚めてきたことに人々が気づいている」
田園さんは、白書はトランプ大統領が中共に対して取ってきた戦略には後れを取っているものの、まだ間に合うとして、それが一般的な米国人の目覚めを促し、米国政府が中共の浸透に対抗するために、より優れた計画を打ち出す助けになると述べています。