不良債権にあえぐ中国の銀行 専門家「中国金融システムに雪崩が起きる可能性」【禁聞】 

中国の銀行は大量の不良債権を抱えており、先日、中共中央銀行の共産党委員会書記が党メディアに、今年の不良債権は継続的に増加しており、リスクが遅れて顕在化する可能性があると明かしました。これについて、中共が紙幣の増刷と不良債権の処理によって、銀行の破綻を回避するという使い古された方法は、状況が複雑化している現在においてはもはや効果がなく、米中の金融デカップリングが起これば、中国の金融システムが雪崩に見舞われる可能性があるとの分析もあります。

8月13日、中共中央銀行共産党委員会書記で、中国銀行保険監督管理委員会の郭樹清(かく・じゅせい)主席は党メディアの新華社を通じて、今年の上半期、中国の銀行業界で新たな不良債権が増え続けており、相当の規模の貸し付けリスクが遅れて顕在化する可能性があるため、今後は不良債権の増加という圧力がさらに強まる可能性があると明かしました。

中国の金融専門家、何軍樵(か・ぐんしょう)さんは、郭樹清主席が金融リスクを明かしたことは、この問題の深刻さを示していると考えています。

中国の金融専門家、何軍樵氏
「外部からの圧力がこれだけ大きく、経済がこれだけ振るわない。それに耐えられるかどうか、彼は責任者として憂慮しているのだろう。だからリスクに言及し、部下たちに注意を促した。不良債権が増えると、時期が来れば雪崩が発生することもあり得ると」

中国の銀行で不良債権が発生した理由について、国営企業に無制限の輸血を行ったことのほか、腐敗官僚と企業が結託して銀行からの融資に成功したからだと何軍樵さんは考えています。中国は党が一切を取り仕切っているため、地方政府や官僚はお金が必要になれば銀行から得るからです。

欧州天鈞政経シンクタンク研究員の任中道さん
「例えば、一部の都市の商業銀行は地方政府にコントロールされている。地方政府の融資プラットフォームやそれらの都市の投資会社は、こうした銀行を利用して民衆の預金を吸い上げた後、自分の投資プラットフォームに貸し付ける。こうして右から左へと資金を動かす。そして債務問題がひとたび発生したら、こうしたリスクをどこかになすりつける」

郭樹清さんは、今年一年で、銀行の不良債権は昨年の2兆3000億元を大幅に上回る、3兆4000億元に上ると予測しています。これは多くの貸し付け金の返済が延期されたためで、その処理は来年さらに増えるとも予測されています。

欧州天鈞政経シンクタンク研究員の任中道さん
「彼らが処理した不良債権の一部は、銀行が先に計上した損失だ。それが用意した準備金を、例えばこれらの金が回収できないことが分かれば、それと直接相殺する。ほかにも、一部の資産管理会社と提携して、一部を投資家に投資してもらう方法もある。だが、全体的に見れば経済全体が芳しくない。特にここ数年、中共上層部はシステマチック・リスクを回避するためのボトムラインを守らなければならないと声を上げているが、見たところすでにそのボトムラインに達しているようだ」

何軍樵さんは、中共の銀行が抱える不良債権は年々増加し、年々懸命に処置を続けていると分析しています。他国の場合なら、ここまで不良債権を抱えた銀行はとっくに倒産しているだろうといいます。

郭樹清さんは、今年上半期に中国は12兆元もの新規の融資を行ったと述べています。

欧州天鈞政経シンクタンク研究員の任中道さん
「今年の初めから始まった銀行の預金準備率引き下げによって、市場に絶えず資金が投入され、それから各企業と個人が融資を受けるよう促され、幅広い信用サイクルが実行された。金融緩和サイクルは資産バブルを確実に発生させるが、リスクもセットだ。こうした状況では、下半期から来年にかけて不良債権の大発生期になる」

何軍樵さんは、中共が投入した融資額は12兆元だけではないと指摘しています。2008年当時、政府は経済刺激策として8億を投入したとしましたが、業界が調査したところ、実際には20億元を上回っていたことが分かっています。

中国経済は長い間現実離れしています。過去に発生したローンのほとんどは不動産市場で組まれたもので、経済専門家は、その結果発生した資産バブルは2008年の米国不動産バブルを上回っていると指摘しています。

ゴールドマン・サックスのデータによると、2019年の中国の住宅・開発業者の在庫総額は52兆ドルに上り、ウォールストリート・ジャーナルは、「中国は非常にまれな不動産バブルという難題に直面している」と報じています。

何軍樵さんは、国内外の状況が複雑化した今も、中共は依然として不良債権の処理と紙幣の増刷で銀行の破綻を遅らせようとしているが、実行できるとは限らないと指摘しています。

中国の金融専門家、何軍樵氏
「通貨を発行してインフレはどうするのか。その時になってコントロールすればいいとでも言うのだろう。外部環境の影響がなく、何の圧力もなく、何の突発事件も起こらなければ、長く持つ可能性がある。米国とデカップリングが発生したら耐えきれないと思う」

今年に入り、米国や西側諸国に中共を排除する動きが広がっています。8月12日、ポンペオ米国務長官は、チェコでのスピーチで中共政権は、私利私欲の追求に終始して自由社会と敵対し、ソ連のマルクス・レーニン主義よりもさらにひどいと述べました。自由社会は今の文明社会を脅かす最大勢力、中国共産党を打ち負かす信念を持っています。

現在、米国は中国に対する一連の反撃を開始しており、中共は米中経済のデカップリングを懸念しています。

何軍樵さんは、これから先はどんなことでも起こり得ると考えています。突発事件がひとたび発生したら、中共が行ってきた、ローン支払いの延長や銀行の不良債権の処置、そして紙幣の増刷といった手段によって延期されてきた、金融リスクの雪崩が誘発される可能性があります。

 
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