重慶市出身の元歴史教員の顏智華(がん・ちか)さんは、1959年から62年にかけて四川省涪陵(ふうりょう)地区で起きた「大飢饉」の真相を執筆したことで海外メディアから取り上げられましたが、最近になって顏智華さんが中共から報復されていることが明らかになりました。重慶当局は顏智華さんの年金給付を停止したうえ、顏智華さんは逮捕令状の出た逃亡犯だと中傷しています。
重慶市涪陵区職業教育センターの元教員で、定年退職した顏智華さんは独立研究者でもあり、30年費やして1959年から62年に、四川涪陵地区で起きた「大飢饉」の真相を調査し、80万字に及ぶ著書『人民公社の中で餓死した140万人の農民たちよ――四川省涪陵専区農村共産主義運動記録』を執筆しました。
この間、顏智華さんは四川省の二つの専区の約20の県を回って、地区委員会書記や人民公社の生産隊長、一般社員を含む100人以上の当事者と目撃者を訪ねました。
歴史学者 顏智華さん
「あなたが所属していた生産隊では、大飢饉で何人が亡くなりましたか?」
元栄桂公社経理 羅友志さん
「私の隊では100人以上が餓死しました」
歴史学者 顏智華さん
「大飢饉のとき、あなたのお宅で何人が亡くなりましたか?」
家族五人が餓死した劉達江さん
「7人家族でしたが、最後に残ったのは私と母親だけでした」
元豊都県包鸞公社大林大隊第二生産隊 隊員
「私の隊には90人以上いましたが、最後には18人しか残りませんでした」
歴史学者 顏智華さん
「208人のうち146人が餓死し、62人が生き残りました」
顏智華さん自身も大飢饉の体験者で、家族が餓死しています。
歴史学者 顏智華さん
「老人は私の祖父母で、母親もいました。母親が抱いているのは私の下の妹で、下の妹は二年目に餓死しました」
顏智華さんの調査によって、この大飢饉はこれまで言われていた3年ではなく、4年半だったことが明らかになりました。つまり、1959年の初頭から1963年の6月まで続いていたといいます。
歴史学者 顏智華さん
「私が読んだ歴史的文献や資料、そして大量の当事者の調査に基づいて再度推計したところ、全国の餓死者の数は7500万人から1億2500万人の間だ」
海外でこの真相を暴露したことで、顏智華さんは中共から報復されています。今年8月、顏智華さんは自身の年金が停止されていることに気付きました。
歴史学者 顏智華さん
「私たちの年金が支給されるのは月の上旬、毎月8日に年金が支給される。だが私には今月分が支給されていなかった」
重慶市涪陵区社会保障局職員は、涪陵区人的資源・社会保障局が、彼の年金を停止するよう通知を出したと言います。
社会保障局で定年退職者の年金管理を行う科長は顏智華さんに対し、自分たちは司法機関からの要請に協力したのだと伝えました。
歴史学者 顏智華さん
「彼らは、私が逮捕令状の出た逃亡犯だから司法機関に協力したと言ったので、私が『指名手配者だと誰が言ったのか』と聞いた。すると機密保持のため答えられないと言った。私はこう言った。『公安局はインターネットに指名手配犯を公開している、もし私が逃亡犯ならなぜ名前が出ていないのか?どの機関が逮捕を許可したのか?インターネットで追跡したのか?』でたらめな話だ」
中国の定年退職者の年金は二つの部分から構成されています。一つは職場がその人の在職期間中に負担する給料の20%で、もう一つは個人が負担する給料の8%です。
公開資料によると、定年退職者が死亡した場合、失踪後6か月以上が経過した場合、もしくは有罪が確定して刑務所に送られ労働改造を行っている場合に限り、年金を停止できると中共は規定しています。涪陵区人的資源・社会保障局の対応がこの規定に反しているのは明らかです。
顏智華さんは何度も電話で交渉しましたが徒労に終わりました。涪陵区人的資源・社会保障局副局長 譚小平(たん・しょうへい)にもかけ合いましたが、責任を転嫁されました。
顏智華さんの妻は涪陵中心医院で薬の投薬ミスによって死亡しましたが、中国では訴えることができないため、2018年に米国に渡り、娘と一緒に国連本部に訴状を提出したこともあります。
顏智華さんは重慶当局が年金の支給を止めた理由について、彼が中共の犯罪を暴露したため、政治的に迫害しているのだと考えています。
顏智華さんは、以前に中共について暴露する際は常に懸念を抱いていたため、10話すべきところを8にとどめていたが、年金も止められた今、これからは言うべきことはすべて言うと語っています。