米国防総省は今年度の「中共軍事力報告」を発表しました。この報告書によって多くの事実が提示されたほか、中共が主張し続けてきた「防衛的国防政策」を否定し、中共政府の軍事力拡大は、アジアや世界に軍事的脅威をもたらしているとも指摘されています。
9月1日、米国防総省は米国議会に対し、中共の軍事戦略と軍隊内部の状況を分析した200ページに及ぶ『2020中共軍事力報告』を提出しました。
報告書は中共の核弾頭の数に初めて言及し、200発を上回っていると推定しています。陸、海、空軍の独自の核ミサイル攻撃力の構築を追求し、今後10年で中共の核弾頭は2倍に増えるとみられています。
報告書には、中共の核兵器軍事力は、中共の言う「最低限度の抑止力」規模の軌跡を上回ったようだと記されています。
米国防総省の中国担当のChad Sbragia国防次官補代理は、中共の戦略にはまったく透明性がなく、米国は中国の核開発を憂慮すべきだと指摘しています。
米国在住の時事評論家、唐靖遠氏
「中共は極度に暴力を盲信している政権で、政治的にも全く信用できない。そのため、このような政権がひとたび核武装を大幅に拡大したら、すべての国が彼らの核の脅威にさらされる。彼らから核で恫喝された国は続々と米国の核の保護を求めている。これは残されたたった一つの道だろう。だから彼らは客観的な立場で国際社会に反共連盟を形成できるはずだ」
報告書は、軍艦の建造や通常の弾道ミサイルと巡航ミサイル、防空システムの少なくとも三つの重要分野で、中共軍は米国に匹敵するかこれを上回る軍事力を備えることも可能だとも指摘しています。
米国在住の時事評論家、唐靖遠(とう・せいえん)さんは、以前に米国とロシアは中距離核戦力全廃条約によって双方が中距離核弾道ミサイルをすべて廃棄し、これらの生産と実験が禁止されたが、中共はその機に乗じて過去数十年にわたり、この種の兵器の開発に力を注いできたと述べています。
米国在住の時事評論家、唐靖遠氏
「中共はこの条約に参加しなかったため制約を受けない。そのため中共はこの分野の開発に力を注いで彼らの言う局所的な優位性を形成した。よって、現在中共が保有している核弾頭はすでに2000発を超えており、その保有数は米国とロシアを遠く引き離している」
米国在住の時事評論家、藍述さんは、この報告書は主に双方の軍艦、核弾道ミサイルなどの数を比較しているもので、その質と実践用途を強調してはおらず、総合的な軍事力を比較した場合は中共と米国との差は依然として大きいと考えています。
米国在住の時事評論家、藍述氏
「これらの比較はある角度から米国政府に対し、中共が今自身の海軍、軍備を急速に拡大させ、中共に世界で軍事的覇権を争う用意があることを注意喚起しているに過ぎない。そういう役割を果たしただけであり、中共の海軍の実力や弾道ミサイルの実力が本当に米国を超えたと言っているわけではない。中共にはそれは無理だろう」
報告書には、多くの分野における中共軍の最新の状況について詳細に記されています。これには、海外活動の拡大、複数の国における軍事的後方支援基地の建設、中距離弾道ミサイルと発射機の大幅な増加、海軍の軍艦が米国の保有台数を超えたことなどが含まれます。
報告書はさらに、中国政府が台湾の武力統一を放棄していないことも指摘しています。中共国防予算は昨年の時点ですでに台湾の15倍に達しており、両岸の軍事バランスが崩れた状態が継続的に拡大しているため、台湾海峡が脅かされるだけでなくアジアや世界規模で脅威をもたらしています。
米国在住の時事評論家、藍述氏
「自宅の隣が警察だったら安全だと安心するだろう。自宅の隣に強盗や盗賊が住んでいたら、彼らが強ければ強いほど安全ではなくなる。中共が今、東南アジア各国や太平洋沿岸諸国に与えている印象は強盗が隣に住んでいるという感覚だ。彼らが強くなればなるほど彼らの殺傷力、他国に与える危害も大きくなる」
米国防総省はこのほど発表した声明の中で、中共は一見すると民間企業に見える中国企業や大学、研究プロジェクトを通じて、彼らが研究開発した先進技術や専門知識を獲得し、その軍備の近代化という目標をサポートしていると明らかにしました。
ペンタゴンはすでに今年6月、『国防授権法』に基づきファーウェイやハイクビジョンなど中国のハイテク企業20社を中国軍が保有、制御しているか又はこれに関連する企業のリストに収載しました。
8月末に米国防総省はさらに中国資本企業11社を新たにリストに加え、これらの企業に対する経済制裁の可能性について基盤を築きました。
また、米国は昨年8月に中距離核戦力全廃条約の停止を宣言し、中距離弾道ミサイルの再開発を即時に解禁しました。先月、軍備管理担当のマーシャル・ビリングスリー米国大統領特使は、米軍はアジアに現在開発中の中距離弾道ミサイルを配備して中共の核武装の脅威に対応しようと考えているとも述べています。