不動産企業の資金調達を阻止し、不動産会社に融資を行った金融機関を処罰する三つのレッドラインが定められたあと、中共はさらに地方金融資産取引所に対する監督管理を強化し、17条のレッドラインを公布して彼らが不動産企業と提携することを禁止しました。評論家は、中共が不動産取引を止めるために政策を立て続けに公布しているのは、バブルの崩壊を防ぐためだと考えています。
『中国経営報』は9月12日、中国証券監督管理委員会がこのほど各省に対し『金融資産類取引所の整理と整備及びリスクの処置作業をさらに良好に行うための通知』を通達し、17条のレッドラインを策定して地方の金融資産取引所に対する監督管理を強化し、彼らがインターネット金融企業、不動産企業、 特定区域の株式市場など複数の金融業態と提携することを禁止したと報じました。
欧州天鈞政経シンクタンク研究員の任中道氏
「これは金融リスクに対処するためのものだ。インターネットは発達を続け、多くのリスクがインターネットに存在する。実際の借入や貸付、銀行管理は非常に厳しいが、インターネットやその他の分野と混ざるとリスクの重複が発生する。そのため彼らは絶えず各種文書やレッドラインを策定してそのリスクの爆発点を封じるために規則を打ち出している」
17条のレッドラインでは、金融資産取引所は不動産業界に「違法な輸血」をしてはならないと特に強調しています。
実際のところ、中国の不動産市場では資金難のために在庫の投げ売りが行われており、ニュースサイト「界面新聞」は、消費活動が最も活発となる秋の不動産販売最盛期にもかかわらず、全国の不動産物件のすべてで3割引きの投げ売りが行われていると報じています。
香港の大富豪、李嘉誠(り・かせい)氏も上海と成都で二大プロジェクトを売却し、現在は北京と上海の不動産の売却を準備中です。
また、中国不動産業界重鎮の潘石屹(はん・せききつ)氏は昨年1月に早くも在庫整理を開始し、SOHO(ソーホー)中国のすべての重要資産の売却を計画しています。
しかし、SOHO中国の今年上半期の純利益は前年同期比で63.96%減少し、買収に失敗した後、時価総額のうち20数億香港ドルが消えてしまいました。
高級住宅開発を手掛ける不動産大手の泰禾集団(たいか グループ)も深刻な債務危機に陥っており、今年の7月7日の時点で返済期限内に返済できない債務が270億元を超えたほか、年内にさらに555億元の債務を返済する必要に迫られており、巨大な泰禾集団も新たな所有者を待っている状態です。
米サウスカロライナ大学エイキン校ビジネススクールの謝田教授
「中国の不動産市場バブルはすでに崩壊が始まっていると考えている。中共が価格の崩壊に抵抗するのは難しいだろう。不動産市場価格が暴落したら、真っ先に打撃を食らうのは銀行の不動産ローンだ」
約2週間前に中国銀行保険監督管理委員会は金融機関五社に対し、3億2000万元に上る巨額の罰金を科し、民生銀行、浙商(せっしょう)銀行、広発銀行、華夏(かか)銀行、華融公司などの民間商業銀行が罰せられました。
中国銀行保険監督管理委員会は、これらの金融機関を罰した理由について、不動産企業のために土地譲渡金を納付し、融資を提供したからだとしています。
米サウスカロライナ大学エイキン校ビジネススクールの謝田教授
「不良債権や回収不能金が、すべての銀行と金融機関、資産管理企業に普遍的に存在する。当然、中共が自分の銀行、つまり国有銀行に打撃を与えることはしないが、彼らは自分の利益を守りたいし自分の面目を失うようなこともしない。なぜなら貸付されたのはもともと彼ら自身の共産党既得権益集団が所有する不動産会社だからだ。だから彼らが刀を向けるのはこれらの民間銀行だ」
これより前にも中共住宅都市・農村部建設部、中共中央銀行はすでに「3本のレッドライン」を策定して、負債率とリンクさせることによって不動産開発業者の資金調達を締め付けています。
欧州天鈞政経シンクタンクの研究員、任中道(にん・ちゅうどう)さんは、中共が最近、民間銀行による不動産会社への融資を阻止し、さまざまな手段を講じて開発業者の資金調達を妨害しているのは、不動産バブルの崩壊を防ごうとしているからだと考えています。
欧州天鈞政経シンクタンク研究員の任中道氏
「当局は不動産を完全に封鎖しようと考えている。目的は不動産価格が高すぎて市場で取引されない状況を作ることで、販売者と購入者の双方を抑圧することだ。不動産価格の暴落を望んでいないのは明らかで、同時に不動産価格が上がることも望んでいない。中国の不動産バブルは過去にない規模で、経済のファンダメンタルズを完全に超えることも、庶民の購買力を超えることも分かっている。だからリスクが非常に大きい。彼らもこのバブルを刺激して壊したくはない。バブルが破裂したら、経済全体が破滅するからだ」
米国サウスカロライナ大学エイキン校の謝田教授は、中共による地方金融資産取引所に対する17条のレッドラインの策定と金融機関への処罰は、これらの地方取引所と民間金融機関が、すでに中共の不動産経済によって悪の道に引きずり込まれたことを表していると分析しています。