武漢の真実を伝えた市民記者張展さん 拘置所で絶食ハンスト

武漢の疫病情報を外部に伝えたことで当局に逮捕・拘束された市民ジャーナリストの張展さんは、何度も絶食で抗議し、現在は最高5年の実刑判決に直面しています。一方、同じく武漢で拘束された市民ジャーナリストの陳秋実さんと方斌さんは、1年近くも消息が断たれたままです。

武漢で中共ウィルスが発生してから、市民ジャーナリストの張展さんは、ロックダウンの前に武漢に入りました。病院や地域社会を訪れ、自身が見て聞いたことを文字や動画にし、WeChatやTwitter、Youtubeを通して発信していました。当局はデマを流したとして、今年5月に張展さんを逮捕しました。張展さんは不当な逮捕に抗議し、何度も絶食ハンストを行いました。最近、検察側は「騒動挑発罪」で張さんに懲役5年の判決を下そうとしていると伝えられています。

11月23日の午前、弁護士の張科科さんは上海市浦東新区の拘置所で張展さんと面会しました。張さんはかなり痩せていて、顔色も青白かったといいます。張さんは無罪を主張し、当局が提示した証拠も認めていません。拘置所は同室の収監者に指図して強制的に食物を注入しており、張さんの健康状態は著しく悪化しています。

海外の人権団体「人道中国」の王剣虹(おう・けんこう)理事長は、張さんを救出するために「武漢肺炎報道は無罪、市民ジャーナリスト張展氏を釈放せよ」の署名活動を行っており、すでに1000人以上の署名を集めています。

王剣虹氏は11月23日にFacebookに市民ジャーナリスト方斌(ほう・ひん)さんに関する情報も投稿しました。武漢のロックダウンが解除されてから、方斌さんの家族は武漢の後湖(こうこ)派出所に何度も足を運び、彼の行方を尋ねましたが、何の結果もありませんでした。最近になって、派出所の責任者は方斌さんの息子に「方斌のケースは米国の大統領選挙と密接に関係しているため、選挙結果が出てから、どう処理するかが決まる」と話したといいます。

方斌さんは、当局の疫病の情報隠蔽に不満を持ち、自ら武漢の各病院を訪ね、現場の映像をインターネットにアップしました。これらの映像は、人々に大きな衝撃を与えました。

元市民ジャーナリストの周曙光(しゅう・しょこう)さんは、張展さんの逮捕と方斌さんの失踪は、中国における言論の自由がさらに後退していると示しました。

元市民ジャーナリスト 周曙光さん
「2013年以前、各種SNSや微博が流行り始めた頃は、社会問題についての人々の参与意識も高まっていた。2013年8月19日、習近平はネット有名人を取り締まる問題ついて講話を行った。その後、多くのネット有名人がテレビで有罪を認めさせられた。公民社会が圧迫され、このような独裁的な状況になった」

周曙光さんは、当局の情報隠蔽とメディアの沈黙に対して立ち上がった市民ジャーナリストが全員逮捕されたうえ、当局の一連の対策の失敗が、疫病の大流行へつながったと考えています。

 
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