米司法省は最近、がん細胞のサンプルを中国に密輸しようとしたとして、ハーバード大学の中国人訪問学者・鄭灶松(てい・そうしょう)氏がボストン連邦裁判所より有罪判決を言い渡され、国外追放を命じられたと発表しました。また、他の2人の中国人訪問学者はすでにがん細胞サンプルを中国に密輸したとされています。
米司法省は、ハーバード大学の中国人訪問学者・鄭灶松氏に3年間の監視付きの釈放判決が言い渡され、米国から国外退去処分を命じられたと発表しました。
先月、鄭氏は裁判所で虚偽の供述をしたと認めました。
昨年12月、鄭灶松氏は米ボストンにあるベス・イスラエル・ディーコネス・メディカルセンターで、21本のがん細胞サンプルをスーツケースに盗み入れ、中国に密輸しようとしましたが、ボストン国際空港でFBIによって拘束されました。
また、同医療センターの中国人訪問学者・劉磊(りゅう・らい)氏と莫雷那(ばく・らいな)氏は、窃盗した生体試料をすでに中国に密輸したとされています。
ベス・イスラエル・ディーコネス・メディカルセンター(Beth Israel Deaconess Medical Center)はハーバード大学医学大学院附属の医療センターです。
米司法省の声明によると、鄭灶松氏はがん細胞サンプルを中国に密輸しようとしたことを認め、中国の研究所で引き続き研究し、自身の名義で論文を発表するつもりであったといいます。
鄭灶松氏が研究していた長鎖(ちょうさ)ノンコーディングRNA(IncRNA)は、生物工学において最先端技術の1つであり、主に腎臓がんの治療法に用いられます。ベス・イスラエル・ディーコネス・メディカルセンターはこの分野の研究で世界の最先端に立っています。
ハーバード大学の日刊学生新聞「ハーバードクリムゾン」は、鄭氏の担当弁護士の話を引用し、鄭氏は帰国するための航空券をすでに購入しており、今後10年間は米国に入国することができないと伝えています。