「EUは中共との包括的投資協定を中止せよ」100人以上の専門家が呼びかける【禁聞】

7年に及ぶ交渉を経て、2020年末にEU中共は、包括的投資協定(CAI)に原則合意しました。中共が、中国市場へのアクセス拡大や技術の強制移転をしないなど、EUに対しての表向きの約束をしたにもかかわらず、依然として多くの人が協定に疑問を抱いています。ドイツのメディアは近日、100人以上の専門家による公開書簡を明らかにしました。専門家たちは書簡の中で、EUは経済利益のために人権を無視していると批判し、協定の中止を呼びかけています。

ドイツの週刊誌「デア・シュピーゲル」は1月25日、100人以上の中国問題専門家や学者、人権活動家などがEU機関に送った公開書簡の内容を明かしました。

書簡では、「中共は民族浄化や強制労働など深刻な人権侵害を行っているにもかかわらず、EU指導層は中共と、包括的投資協定(CAI)に合意した。しかも協定では、中共政府に対し、奴隷労働など人道に反する罪を終わらせることも要求していない」と指摘しています。

協定の締結を主導したのはドイツのアンゲラ・メルケル首相だとされています。2020年下半期のEU議長国に就任したドイツのメルケル首相は、反対を押し切って、EU諸国と中共の協定締結を推し進めました。

協定では、中共側は中国で事業を展開する欧州企業に対して、合弁企業の設立や機密技術の共有を要求しないことを含め、欧州企業への制限を緩和するとしています。

しかし、公開書簡では今回の協定は、「中共の本質に対する甘い考えに基づいて締結された」と批判し、EUが既存の対中戦略的依存性をさらに深刻化させただけでなく、EUの価値観にも反していると指摘しています。

書簡は、香港の民主化運動への弾圧や新疆ウイグル人の強制労働収容所での迫害、豪州への制裁や台湾との対峙など、中共の数々の人権侵害と背信行為を列挙しました。

米国サウスカロライナ大学エイキン校の謝田教授は、中共の対外拡張は欧米の分断と企業の買収を常套手段としており、欧州各国の政治家もそれを非常によく知っていると指摘しています。

米国サウスカロライナ大学エイキン校ビジネススクールの謝田教授
「欧州の政治家は中共に誘惑されたのだろう。買収も否定できない。中共の野望や策略、対米貿易と投資問題、WTOの実行すべき公約などにおいて、中共は国際ルールを守らないし、約束も守らないということを何度も見せつけている」

EUと中共の包括的投資協定は、加盟国議会の最終承認を得るまでに、約1年を要します。また、ブリュッセルの欧州議会での審査も必要です。

ハーバード・ケネディスクールの研究員、フィリップ・ル・コレ(Philippe Le Corre)氏は、今回の協定は、一握りのドイツの多国籍企業を喜ばせるために設けたものだと示しました。また、香港問題や中共ウイルスの蔓延で、欧州の人々は中共政権に失望しており、欧州議会で合意を阻止するために、反対派は十分な票を獲得する必要があると述べています。

中国政法大学国際法修士 頼建平氏
「EUのみならず、国際社会の多くの人が反対している。従って、同協定が欧州議会で可決されるかどうかはまだ未知数だ。欧州議会の議員や政策決定者が民意を汲み取っているかどうか、政治的知恵を持ち合わせているかどうか、それ相応の決断力があるかどうかにかかっている。彼らにとっては一つの試練だ」

公開書簡には、ロンドン・スクール・オブ・エコノミックス、プリンストン大学の学者、世界ウイグル会議の事務局長ドルクン・エイサ(Dolkun Isa)氏、イタリアの前外相 ジュリオ・テルツィ・ディ・サンターガタ(Giulio Terzi di Sant’Agata)氏、ウェストミンスター大学の中国性別平等権利と人権問題専門家ハリエット・エバンス(Harriet Evans)教授なども署名しています。

米国サウスカロライナ大学エイキン校謝田教授
「この結果を本当に変えたいのであれば、欧州各国の議会がもっと努力し、米国からのロビー活動を強化し、より大きな圧力が必要となる。しかし、これは非常に良いスタートであり、少なくとも欧州の学術界や反対派はすでにこの問題を意識していることを表している」

米ニューヨーク・タイムズは、協定は合意に至ったものの、欧州とワシントンではいずれも政治的な反対に直面しているため、最終的に失敗に終わる可能性がある伝えています。

1月21日、欧州議会はテレビ会議において、中共の香港民主活動家への弾圧を非難する動議を、圧倒的多数で可決し、EUの中共への包括的投資協定の承認採決は、香港を含む中国の人権問題が重要な考慮事項になると警告しました。

 
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