中国の有名女優・鄭爽(ジェン・シュアン)が現在、激しい非難の的となっています。発端となったのは最近、彼女の元交際相手による、「彼女は米国で代理母に出産させた2人の子供を放棄している」との告白からでした。
先日、鄭爽の元交際相手はネット上で2人の子供の世話をしなければならないため、1年間米国に滞在していると投稿しました。
報道によると、鄭爽と元交際相手は2人の代理母が出産する前に破局したとされています。また、公開された動画では、鄭爽が子どもたちをどうするか悩んでいる様子が映し出されていました。
鄭爽ジェン・シュアン 中国の女優
「2人の子供の母親は妊娠7か月を過ぎた。もう流産はできない。もううんざりだ」
この騒動はソーシャルメディア上で物議を醸しました。
あるネットユーザーは、「彼女(鄭爽氏)は自分の子供を物のように扱っている。気まかせで子供を見捨てるのか」と非難しました。
「あなたはまだ人間なのか?子供は物なのか?そんな風に胎児を見捨てていいものか!胎児2人は命だ!何も悪いことをしていない!どうしてそんな恥知らずなことを言えるのか」
今回のスキャンダルにより、鄭爽の世間での評判は急落し、この騒動を受けたアパレルブランドのプラダなどは、すでに鄭爽との契約を破棄しています。
中国の映画業界も鄭爽を「人徳の欠如」と公に非難し、スキャンダルに巻き込まれた芸能人は起用しないと表明しました。
今回の騒動に対し、鄭爽は「とても気落ちしている。これはプライベートなことだ」と述べ、法律に違反はしていないと付け加えました。
今回の騒動をきっかけに、代理出産について議論が巻き起こりました。中共の官製メディアは、中国ではいかなる代理出産の形も禁止していると報じました。
また、中共の政法委員会は米国で代理出産をさせた鄭爽に対し「法の裏をかいている」と非難する声明を発表しました。
法律により禁止されているにもかかわらず、中国では代理出産が浸透しています。
2009年に行われたある調査によると、出産適齢期の人口で8人に1人、つまり4000万人が不妊症となっています。
この問題は、中共当局により数十年間実施されてきた「一人っ子政策」の後に起こったとされ、強制中絶や不妊手術なども要因に含まれてます。
中共当局は、一人っ子政策を実施したことにより4億人もの人口増加を防いだと主張していました。しかし、予期せぬ事態が発生しています。
(2018年3月現在)
「中国婦権(Women’s Rights in China)」創設者・Zhang Jing
「どれほどの胎児が強制堕胎で亡くなったのか。どれほどの人が人口が多すぎるからといって、手術台の上で流産を強いられたのか。どれほどの人が負傷や、不具合があるからといって、子供を持つことができなかったのか。どれだけの人が(当局の)試験薬物の投与により、不妊となり、子供を持つことができなかったのか。生涯にわたる苦痛だ」
中国政府が2016年に一人っ子制策を廃止した後でも、出生率は回復しませんでした。
現在、中国の出生率は過去最低の水準にあり、人口危機が迫っています。
香港メディアのあるコラムは、ほとんどの中国人は多額の費用を払えないだけでなく、代理出産に関わる法的問題を解決することもできないと指摘しています。
なので、実際に代理出産を依頼しているのは共産党の高官や中共と関係のある他の利益集団であることを意味しています。
しかしコラムニストは、これらの権益層は権力と人脈を使って、常に世間の目から逃れていると指摘しています。それにより、中国人女性に対する代理出産関連の事件も隠蔽されています。
鄭爽のスキャンダルが発覚する2日前、中国メディア「財新網」は調査報告書を発表し、上海マフィアが複数の女性に代理母になるよう強要したという話を掲載しています。記事によると、ある女性は目隠しをされ、病院に運ばれた後、同意の確認もなく、鎮痛剤の投与もなく、強制的に卵子を採取されました。女性はその後不妊症になったといいます。
マフィアを保護するため、上海の地方裁判所の裁判官と警察は賄賂を受け取っていたといいます。
代理出産は中国でもはや賄賂の温床にさえなっています。
2016年、中国の財政部副部長のために、あるビジネスマンが代理母を探し、費用も仲介しました。それにより、中国政府から数千万ドルの産業補助金を受け取ったとされています。