英日刊紙タイムズは2月8日、200人もの英国の研究者が「学術交流」を通じて特定の軍事技術を中共に流し、中共の大量破壊兵器の製造を支援していたと報じました。この件について英国政府は調査を進めていますが、もし事実だった場合、最高で10年の実刑判決が下されます。
英日刊紙タイムズは2月8日、少なくとも英国の12か所の大学の研究者200人が、航空機やミサイルの設計、サイバー攻撃兵器をはじめとする先進軍事科学技術の研究成果を中共が取得する手助けをした可能性があると報じました。
英司法機関はこれらの研究者に召喚状を出す準備を進めており、「2008年輸出管理法(Export Control Order 2008)」への違反が認められた場合、最高で10年の実刑判決が下される可能性があります。この法律には、高度に敏感な知的財産の敵国への提供を禁止すると定められています。
英国政府はこの件に関係する大学名を公表していませんが、デイリーメールは英国で最も権威あるとされる大学が軒並み調査リストに挙げられていると報じています。関連の調査は外務省秘密情報部(MI6)の反諜報活動専門家が行っています。
英国のシンクタンク、シヴィタス(Civitas)は先日発表した報告書の中で、英国の大学20か所が中国の29の大学、及び中国企業9社との交流協議に署名しており、これらの中国の大学と企業の背後にはすべて中共軍が存在していると記しています。
英国保安局は、英国の先進的軍事研究の成果が中共に漏洩した可能性があるうえ、反体制派やウイグル人などの社会的少数派の鎮圧を目的とした、中共当局による大量破壊兵器の研究開発を支援している可能性があると憂慮しています。
台湾政治大学国家発展研究所教授の李酉潭(り・ゆうたん)氏は、中共による国内鎮圧政策と対外拡大戦略が英国を覚醒させたと述べています。
台湾政治大学国家発展研究所 李酉潭教授
「英国の研究者200人が調査されようが、誰かがスパイ活動を行ったことで逮捕されようが、すべて中共独裁政権の拡大下にあっては裁判は避けられない。彼らは中共軍事分野に関連する交流に関わっており、英国や全世界を危険にさらしている。そして中国大陸内部にも危害を加えている。新疆やチベット、モンゴルだけでなく、反体制派もだ」
英国在住の中国人研究者、李桂華(り・けいか)氏は、英国の様々な分野で中共の浸透が非常に深刻化しているが、英国が現在進めている研究者らに対する調査は、冷静な行動だと述べています。
英国在住の中国人研究者、李桂華氏
「以前は誰もやらなかった。だがここ1~2年の間に多くの人が覚醒してきた。だからメディア関係者だけでなく、一部の伝統的価値観の人、真の愛国者らは、この問題を反省し始めている。よって近頃、さまざまな事件が立て続けに起きている」
英中関係は近年、香港問題やファーウェイの5G、そして英国政府がジャーナリストを装った中共諜報員3人を国外退去させるといった深刻な問題に直面しています。近日英BBC放送が、新疆の強制収容所で女性が性的暴行を受けたことを報じたほか、英国規制当局が中共メディアの環球電視網(CGTN)の営業許可証を取り消しました。
李桂華氏
「このようなことがもっと増えて、中共の本質がもっと明らかになり、彼らは以前からずっとデタラメなことをやってきたのだと気づく人が増えるだろう。今、社会全体がこの問題を片づけている」
英国の著名な中国問題専門家で、英国王立国際問題研究所(Chatham House)の副研究員であるビル・ヘイトン(Bill Hayton)氏はラジオ・フリー・アジアの取材に対し、「中共の黄金時代はすでに終わった」と述べ、中共が英国に対し経済や貿易面で報復する可能性はあるが、中共は対英国貿易黒字を享受しているため、打撃を被るのは英国ではないと指摘しています。
英国政府のデータによると、2019年の英中貿易で中共の対英国貿易黒字額は183億ポンド(約2兆6千億円)に達し、中国側が英国に経済制裁を実行した場合、より打撃を被るのは中共だと明らかになっています。
李酉潭氏は、欧州全体は米国のトランプ大統領が過去4年間で講じた方法を学習し、中共に対する包囲と攻撃を連携して行うべきだと述べています。
李酉潭氏
「中国の貿易制裁を過剰に恐れることはない。なぜなら中共の全世界に対する依存度は、西側諸国の中共に対する依存度よりも深刻だからだ。我々西側の各自由民主国家のリーダーや研究者は一致団結して、21世紀で最も恐ろしい敵である中共独裁政権にどうやって立ち向かうのかよく考えてほしい」
李桂華氏は、英国政府の中共に対する強硬姿勢は、中共という邪悪な政権にはこれ以上付き合わない準備が整ったことを示していると述べています。
李桂華氏
「このことはまず、米国が先に着手し、それを精力的に実行した。現在、この古い帝国主義を掲げる英国国内でもそれが行われるようになった。では、世界のその他の分野に与える影響は大きいはずだ。人々はさらに多くの共通認識を持つようになるだろう」
李桂華氏は、将来的に欧州のその他の国もこれにならい、少しずつ広まっていくだろうが、現時点で英国まで広がっているため、この動きは欧州大陸全体を席巻するだろうと述べています。