中国共産党政権は、次世代のハイテク分野において中共が規定した技術規格を国際標準化させることを目指しており、現実化すれば世界の産業市場に多大な影響を及ぼすものと見られています。
2015年、中国共産党政権により「中国製造2025」計画が打ち出されてから、官製メディアは大々的にこの計画について取り上げ、プロパガンダキャンペーンを開始しました。
「メイド・イン・チャイナ!作れないものは何もない!上手く作れないものは何もない!まだ作られていないものは何もない!」
この野心溢れる「中国製造2025」計画は、中国の製造業の高度化を目的としています。これに対し、米国は中国共産党政権が巨額な国の補助金、不公正な貿易慣行、及び知的財産の窃取を通じて、実施するだろうと考えています。
この計画は西側諸国の警戒心を強め、トランプ前大統領の怒りを買いました。
第45代米大統領 ドナルド・トランプ氏
私は『中国製造2025』は非常に侮辱的だと言った。なぜなら『中国製造2025』は彼らが2025年に世界を経済的に支配することを意味するからだ。私は『それはあり得ないだ』と言った」
「中国製造2025」計画は、トランプ氏が中国製品に対し高関税を課すと発表した際にも、指摘を受けました。
そのため、今回中国共産党政権は「中国標準2035」戦略を掲げた際には、控えめな姿勢を見せています。
しかし、この新たな戦略は「中国製造2025」計画と同様に野心的です。
現在の中国共産党政権は、国際規範を無視し放縦するのではなく、自国の規格を国際標準化させることを目論んでいます。
「中国標準2035」計画の詳細はまもなく発表される予定ですが、昨年公開された公式文書において目標が明確化されており、中国共産党は次世代のハイテク分野における国際標準を形成したいと考えています。
国際標準化を狙うハイテク分野には、5Gインターネット、モノのインターネット (IoT)、人工知能(AI)などが含まれています。
業界標準により、世界中で製造された製品が連携できるようになり、これには電球のサイズから5Gデータの転送方法まであらゆるものが含まれます。
では、なぜ中国共産党は国際標準化を狙っているのでしょうか。
一例としては、グローバルテクノロジーの秩序における中共の考えを際立たせることができます。
昨年3月、英経済紙フィナンシャルタイムズは、中国の通信機器大手ファーウェイが国連に新たなインターネット方式の代替案を提言したと報じました。
ファーウェイのエンジニアたちは、誰もが参加できる自由でオープンな空間は時代遅れであり、世界には新しいグローバルネットワークモデルが必要だと主張しています。
この新しいモデルでは、サービスプロバイダーがサービスを通じてインターネットに接続されているすべてのデバイスを完全に監視および制御することができます。
中国では、サービスプロバイダーは通常中国共産党の管理下にある国有企業です。
このトップダウン型のインターネット方式によって、政府は情報の流通をより細密に制御できるようになります。ファーウェイは、中国が国際社会のためにインターネットを構築すべきだと考えています。
サウジアラビア、イラン、ロシアなどの国々はこれまでファーウェイの提案を歓迎してきました。
では、中共はこれらの規格を国際標準化させることができるのでしょうか。実際、中共政権は国際標準を制定する国際機関において影響力を持っており、存在感を示しています。
例えば、ファーウェイの新たなインターネット方式の代替案が国際電気通信連合(ITU)で提起されました。
現在中共政権は、電気通信、無線通信、及びサイバーセキュリティのおける標準化と規制を行っている国際電気通信連合(ITU)の研究グループへの参加率が40%に達しています。これに対して、米国はわずか5%となっています。
中国共産党は、世界最大の標準化機構である国際標準化機構(ISO)で6番目に多くの事務員を抱えています。
米議会の諮問機関・米中経済安全保障調査委員会の報告書によると、2008年以降米国のマーケットシェア(市場占有率)は着実に減少している一方、中国のマーケットシェアは同期間で3倍に増加しています。
ISO(国際標準化機構)や国際電気標準会議(IEC)などのような組織には中国人が多く、中には重要なポストに就いている人もいます。
これらの戦略は、中国共産党が国連機関を占拠して影響力を行使するために、中共の職員を送り込んでいるのと似しています。
ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、2019年中国共産党政権はISOが、香港の主要言語である広東語のタイピングに関する規格を認定するのを阻止しようとしました。
広東語は香港の文化的アイデンティティの重要な部分です。しかし、中国の代表者たちは中国全土の公用語は、北京語一つで十分であると主張しました。
米国は以前、中共が監視カメラによる顔認証システムのような機密技術の基準を設定する際、権威主義的な規範を輸出する可能性に対して懸念を表明していました。
中共はすでに「一帯一路」構想を通じて、アジアやアフリカなどの発展途上国に対して中国規格の普及に乗り出しています。
ウォール・ストリート・ジャーナルは、北京がそれらの国々に自国の規格を使用させるための補助金を提供し、国際規格への切り替えには多額なコストがかかるようにしていると報じました。