世界保健機関(WHO)が発表した最新のデータによると、中国は2020年でがんの罹患率が最も高い国となり、がんによる死亡率は、2番目のインドと比べて3.5倍以上となっています。中国の環境保護活動家は、中国共産党の改革方式の工業化による環境汚染が、がんの発症率を押し上げていると考えています。
中共の官製メディアは、WHOの最新データを引用し、「中国では2020年に457万人ががんに罹患し、300万人が死亡。がんの罹患数・死亡者数がともに世界で最も高く、1日平均12,500人のがん患者が確認され、中国は世界一のがん大国となった」と報じました。
がんの部位別死亡者数では、肺癌が最も多く、次に肝臓癌となっています。近年は若年化の傾向もみられ 、特に5歳未満児の罹患率の増加が顕著になっています。
中国におけるがん罹患率の増加には、環境汚染、過剰なストレス、食生活及び高齢化の加速などが関係していると考えられています。
「太湖の護衛者」として知られる中国の環境保護活動家・呉立紅(ご・りつこう)氏は、工業化による環境汚染ががんの発症率を上昇させており、中でも最たる要因が水質汚染で、次に土壌が汚染され、それから食品の汚染を招いたと考えています。
中国の環境保護活動家・呉立紅氏
「改革開放から約40年間、多くの人が企業を立ち上げてきたが、その中にはエネルギー消費量が多く、汚染リスクが高く、生産性が低い粗放型の企業が多い。さらに今、中国経済の不況風にさらされている。いわゆる環境保護革命は通り風のようなもので、生存のためには環境を犠牲にするしかない」
呉立紅氏は、早くも20年前に科学研究関連の大学と共同研究をしていたときにすでにがん発症問題について言及したことがあり、関連の報道は中国の時事雑誌「南風窓」に掲載されています。この記事の中で吳立紅氏は、20年後には中国のがんの発症率が爆発期を迎えることになると指摘していましたが、今まさにそれを目の当たりにしています。
中国の環境保護活動家・呉立紅氏
「周りの友人の中にはまだ若いのに、肺癌で亡くなった人たちがいる。彼らは腫瘍内科で治療しても効果がなく、死を待つしかなかった。中国の環境汚染問題は非常に深刻であり、特に汚染された空気は、体の感覚器官や組織、人間の生命を直接破壊することができる」
呉立紅氏によると、先月自宅の近くで浚渫(しゅんせつ)工事が行われていた際、太湖の湖岸(こがん)がまるで真っ赤な口を開いているようになっていて、泥は豚バラ肉のように赤色や黄色、青色になっていたといいます。環境保護局にこの問題を報告しましたが、中央も地方も関連部門は互いに責任を押し付け合うばかりで、結局解決されませんでした。呉立紅氏は、中国の環境保護局を「環境非保護局」であると指摘しています。