元ジャーナリストで、アカウント「辣筆小球」で活動していたウェイボーの人気ブロガー、仇子明(きゅう・しめい)さんが、昨年発生した中印国境での武力衝突の中国軍死亡者数に疑問を呈したことを理由に「英雄の名誉を侵害した」容疑で3月1日に当局から正式に逮捕されました。その後、仇子明さんが容疑を認める姿がニュースで報じられました。
昨年6月にインドと中国の国境地帯で発生した両軍の衝突について、中国側は今年2月19日になってはじめて、死者4人、負傷者1人だったと発表しました。この人数についてウェイボーの人気ブロガー「辣筆小球」さんが疑問を呈したことで、警察は2月20日に辣筆小球」さんを刑事拘留しています。
南京市検察院は3月1日、刑法修正案のなかの「英雄の名誉、栄誉を侵害した罪」の容疑で「辣筆小球」さんの逮捕を認め、公益訴訟による立件、調査を決定しました。
報道によると、3月1日に発効したばかりの刑法修正案(十一)に新たに追加された17の罪名の一つが、今回「辣筆小球」さんに適用された「英雄の名誉、栄誉を侵害した罪」です。
一方、重慶出身で海外在住の王靖渝(おう・せいゆ)さんは、発効したばかりのこの法律を「辣筆小球」さんに適用することはできないと指摘しています。
海外在住の元重慶市民 王靖渝さん
「法律が正式に発効してからでなければ法律に効力は生まれない。辣筆小球さんの場合、彼が文章を発表した日も彼が逮捕された日も3月1日より前だ。中共は法治国家ではない。また、彼が彼ら(英雄)の名誉や栄誉を損なう行為を行ったとは私は思わない。よってこの罪名もあてはまらない」
中共の中央電視台(CCTV)ニュースは3月1日夜に「辣筆小球」さんが「罪を認めている」映像を約1分間放送しました。青色の囚人服を着てマスクを着用した「辣筆小球」さんは、カメラの前で自分の行為は「良識に欠けた」ものだったとして、「自責の念に駆られ、後悔している」と話しました。
王靖渝さん
「彼がこのようなことを話したのは、中共が彼に虐待や暴行を加え、脅迫したからだと私は99%確信している。私の両親もほんの数日前に私に、二人の考えとは違うビデオを録画するよう警察から強要されたと話していた。中共が中央電視台に生放送させたのは『我々共産党に逆らったら、いい結果にはならないぞ』と大々的に宣伝し、恐怖に満ちた雰囲気を中国に作り出すためだ」
中共は「辣筆小球」さんのほかに、中印軍事衝突の死傷者数に関して疑問を呈したネットユーザー6人を拘留しています。その中の一人である王靖瑜さんは、指名手配されたときに海外にいたため、中国国内に住む両親が拘束されて家宅捜査されました。その後警察は、3日以内に帰国しなければ両親は「よい結末を迎えられない」と王靖瑜さんを脅迫しました。