2018年に起きたアフリカ豚熱(ASF)の大流行によって、中国の養豚業界は深刻な痛手を被りました。新たに発生した変異種は現在のウイルスよりも感染力が強く、防疫がさらに困難になるほか、豚肉価格の高騰も招いています。
英国のフィナンシャル・タイムズは3月17日、中国のアフリカ豚熱の感染拡大を抑え込むことができなくなっており、市場は変異ウイルスの発生を非常に懸念しているため、豚の先物価格と子豚の価格が高騰していると報じました。専門家は、新たな変異ウイルスは現在のウイルスよりも感染力が高いと指摘しています。
中国の獣医師の田さん
「世界中のどこにもアフリカ豚熱のワクチンはない。豚熱の場合、発症してしまったら治療は難しい。症状が出てしまったら世界のどこにも治療法がないからだ。そうなったら何をするにもリスクがある。今豚の価格がこんなに高くなったのは当然のことだ」
現在、中国でも他のどの国でもアフリカ豚熱のワクチンの生産や販売、使用を承認していません。今年1月19日に中国農業科学院は豚熱ワクチンの研究開発がすでに臨床3期に入ったと発表しましたが、ワクチンの市場投入の見通しは立っていません。
中国の養豚専門家の王さん
「アフリカ豚熱にはワクチンもなければ治療薬もない。かかってしまったら助けることはできない。防疫はできる」
中国の獣医師の于さん
「ワクチンは地元の獣医のところに行けばある。豚熱にはワクチンはないが、予防薬はある。養豚は通常から予防医療が必要だ。それがうまくいけば豚は簡単には発病しない。通常は管理の良しあしによる」
北京恩睿康(おんえいこう)農業技術コンサルタントのシニア顧問の朱穏森(しゅ・おんしん Wayne Johnson)さんはメディアに対し、養豚業者の間で未承認のワクチンが広く使用されていることが、突然変異によって新たなウイルスが発生する原因の一つになっていると述べています。
2018年のアフリカ豚熱の大流行によって中国の養豚業界は大きな打撃を被りました。2020年に中国全土の豚肉の供給が20年ぶりの低水準まで落ち込んだあと、アナリストは新たなウイルス株によって、豚肉の市場価格はさらに高騰するしかないだろうと述べています。