広東省広州市番禺区(ばんぐうく)明経村で3月22日、凄惨な事件が発生しました。現場には血やものの破片が散在しており、現地住民は、村の共産党委員会の定例会議中に胡という元軍人の村民が体に爆弾を巻きつけて現場に進入し、村の複数の幹部を道連れに爆薬を爆発させて死亡したと話しています。今回の事件の発端は、村幹部の汚職や職務不履行だったとの声があります。
現場にはがれきの山ができ、天井板は剥がれ落ちて壁や階段には血しぶきが飛んでいます。
広東省広州市番禺区化龍鎮明経村で3月22日の午前10時ごろに爆発事件が発生し、警察は胡という59歳の元軍人が爆発物を建物に持ち込んで内部で爆発させ、本人を含む5人が死亡し5人がけがを負ったと発表しました。
明経村に住む盧さんは23日に新唐人テレビの取材に対し、胡は元軍人で、村幹部の汚職や職務不履行に不満を抱いていたと話しています。
広東省広州市番禺区化龍鎮明経村 盧さん
「これは単なる刑事事件で、テロリストの襲撃でもない。補償が合法的でなかったことで、彼の怒りを買ったのだろう。報復されたのだ。そうでなければ彼がわざわざ村委員会を選ぶわけがない。彼は一般人には何もしていない。そうだろう?」
盧さんは、元軍人には村の共産党委員会を襲うだけの理由があったはずだと指摘し、打つ手のない状況に追いやられでもしなければ、こんな悲惨なやりかたで報復する人などいないはずだと話しています。
盧さん
「彼は爆薬を自分の身体に縛り付け、村幹部が毎週月曜日に合同会議を開いているので、直接その会場に向かった。爆発させたのはそういうわけだ。どこでもよかったというわけではない」
ある現地住民は大紀元の取材に対し「この事件で16人が死傷し、全員が病院に運ばれた。朝の会議で村の役人が全員死んでしまった」と答えました。
事情を知るネットユーザーは「土地収用に対する補償金の分配が不適切だった。村民は雷管を持って幹部の近くで爆発させた。5人が死亡し、書記も副書記も亡くなった」と投稿しました。
またあるネットユーザーは「庶民が追い詰められたから役人に反抗しているのだ!すべては始まったばかりだ!」と投稿し、別のネットユーザーも「どこかで抑圧されればどこかで反抗が起きる!」と投稿しています。
警察は今回の事件の原因を発表していません。ある市民は、強制立ち退きが関わっているのではないかと疑問を呈しています。報道によると、明経村は昨年8月に、この村の再建プロジェクトの提携企業に上海升龍投資集団を指定しました。このプロジェクトは108ヘクタールもの面積に及んでいますが、升龍集団は中国メディアに対し、この再建プロジェクトはまだ審査に合格していないため、取り壊しと立ち退きはまだ始まっていないと述べています。
カナダ在住の中国人作家、盛雪氏は、今回の悲劇から、中国の庶民は(行政から)見捨てられ、絶望していることがうかがえると述べています。
カナダ在住の中国人作家、盛雪氏
「過去の非常に長い間、中共は『国富民弱』という発展戦略を行ってきたが、中共にはこの社会全体の生産力を本当に向上させる能力はないのだということが我々にはわかっている。民間からの略奪は回を重ねるごとに深刻さを増しているが、ほとんどの民衆は怒りをこらえて耐え忍ぶしかない」
盛雪氏は、中国では民衆が何かを正当な道へと戻すことのできるルートは基本的にすべて閉ざされてしまったと述べています。
盛雪氏
「中共の行政機関全体において、国家レベルや政府レベルで不作為が行われると、民衆には打つ手がない。だから今回、庶民が選んだのは加害者になることで正義を取り戻すというルートだった。これは暴力を伴うものだ。よって、そもそも罪を問われるのは中共当局であり、現地政府だ」
盛雪氏は「中共の統治手段によって暴力がさらに増えるに違いない。すべての人が耐え忍んで生きる道を選ぶとは限らないからだ」と述べています。
盛雪氏
「中共は今後さらに暴力的手段に訴えるようになるだろう。それが広がり続け、ボトムラインが消え続け、境界がなくなった時に、彼らは間違いなく反旗を翻されるはずだ。この種の反抗は一般人の眼には中国社会に暴力が広まったように映るかもしれない」
盛雪氏は、いかなる暴力であっても、その元凶はすべて中共の国家テロリズム制度だと強調しています。
盛雪氏
「彼(胡)の行為は現地政府にある程度の恐怖心を植え付けた。他の政府部門は今回の事件を今後の戒めとすべきだ。彼らは、彼らの方法そのものが社会にもたらした害、そして引き起こされた反発がどれほど激しいのかを知るべきだ」
盛雪氏は、それでも中共が反省しないのであれば、このような悲劇は間違いなく増え続けるだろうと述べています。