米国の最高裁判所が4月1日、従来型メディアがインターネットとの競争で有利になる判決を下し、これと同時にテキサス州上院は、SNSはユーザーの政治的見解を検閲してはならないとする法案を可決させました。
米最高裁判所は4月1日、連邦通信委員会(FCC)に対し、一部メディアの所有権を廃止する権限を与える法案を支持するとの判決を下しました。この判決は従来型メディアの勝利だとみられています。
FCCは1975年から、情報ソースの多様性を保つため、一つのコミュニティ内で企業が複数のメディア組織を所有してはならないと規定していました。
しかしインターネットの台頭によって、従来型メディアが存続の危機に立たされたため、2017年にFCCは地方テレビ局が生き残る確率を上げるため、所有権に関する規制緩和を行って、放送業界とテレビ業界との間の統合を許可しました。
しかしFCCの決定はその年に米国第3巡回区控訴裁判所によって退けられ、今回の最高裁判所でようやく最終裁定が下されて、最終的にFCCにメディアの所有権緩和を行う権限を与えることが決定しました。
最高裁判所のカバノー判事は判決書に次のように記載しました。「所有権の規制はもはや現在のメディア市場には適用されない。ラジオ局、テレビ局、新聞社の間での効果的な合併統合を許可することが、消費者の利益になる」
最高裁判所が従来型メディアに有利な判決を下したのと同時に、テキサス州上院では、大型ソーシャルメディアの権限を規制する法案が可決されました。
この「上院12号法案」では、1億人以上のユーザーを抱えるソーシャルメディア企業は、政治的見解を理由にアカウントのロックや削除を行ってはならないほか、ユーザーを差別してはならないと求めています。
法案を提出したテキサス州のブライアン・ヒューズ(Bryan Hughes)上院議員は、この法案によって「テキサスの人々をインターネットに戻す」と述べています。
テキサス州共和党のブライアン・ヒューズ上院議員
「これらのソーシャルメディア企業は、町の新たな広場であり、サンフランシスコの一握りの人間が我々その他の人間の言論の自由を制限することはできない。ソーシャルメディアにはオープンな意見交換が必要なのだ」
現在この法案はテキサス州下院に送られています。ヒューズ上院議員はこの法案の成立を楽観視していますが、この法案が成立した場合、司法上の課題が生まれる可能性が高いことを認めています。
ブライアン・ヒューズ上院議員
「Facebook、Google、Twitterで大勢の弁護士やロビイストが、この件に関し我々に反対するだろう。だが我々は正義の側に立っており、法律は我々の側にある」
ヒューズ上院議員は、米国市民の言論の自由を守るため、この法案をたたき台としてより優れた意見が出され、その他の州が手本とする対象になることを望んでいると述べています。