トランプ前大統領「ロシアを中共側に押し遣るな」

ロシアは中共政権にとって同盟国なのか、それとも敵国なのか?米国は、この問いに対して戦略的関心を高めています。アナリストの分析をご覧ください。

ドナルド・トランプ前大統領は、FOXニュースの最近のインタビューで、米国はロシアを中国共産党側に追い込むのではなく、むしろロシアと上手く連携を取るように努力すべきだと述べました。

ドナルド・トランプ前大統領
「最悪なのは中国(共)とロシアを同じ陣営に置くことだ。実際両国は同じ陣営に立っており、同じ陣営に追い込まれている。ロシア絡みの作り話は、私たちがロシアと維持すべき関係を甚だしく損なうものだ」

このトランプ前大統領のコメントは、ロシアがウクライナ国境付近とクリミア半島に兵力を集結し、対ウクライナとの緊張が高まる中、同国の後ろ盾となる西側諸国に向けて警告を発したことを受けてのものです。一方、中共は台湾の防空識別圏に記録的な数の爆撃機と戦闘機を送り込んでいます。

米国在住の時事評論家、唐靖遠(とう・せいえん)氏は、米国が非常に困難な二正面戦争を望まないのであれば、しっかり戦略を練る必要があり、今回のトランプ氏のコメントは重要な戦略的判断を示すものだと指摘しました。

時事評論家/唐靖遠氏
「中国(共)とロシアの関係は常に団結しているように見えているが、ハードな部分では彼らは分かれている」

唐靖遠氏は、ロシアと中共間のイデオロギーの相違による不信や、過去の領土紛争を理解しています。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、米中貿易戦争の際には、現地に軍隊を派遣しないと公言しました。またプーチン大統領は、中国の格言を引用し「虎同士が谷間で争っているとき、賢い猿は脇に座ってどちらが勝つかを待つ」と述べています。

時事評論家/唐靖遠氏
「もし米国がロシアとの関係を修復することができれば、それは中国共産党に対抗し、中国共産党を孤立させる強力な手段となる。だがもし現政権が、ロシアに厳しい制裁を科すならば、ロシアを中共の側に押しやり、両者を団結させるのは必至だ。米国は自ら敵を作ることになる」

唐靖遠氏は、ロシアの脅威と中共政権の脅威は違うものだと述べています。

時事評論家/唐靖遠氏
「ロシアは確かに民主国家ではないが、これまでのところ、そのイデオロギーを他国へ輸出して広め、世界秩序に挑戦しようという動きは見られない。ロシアにはそうする動機も能力もない」

ロシア経済は低調で、国内総生産(GDP)は(1.7兆ドル=約183兆円)は中国の一つの省に相当するレベルにすぎません。一方、中国のGDPは米国に次いで世界2位です。

時事評論家/唐靖遠氏
「ロシアがいかに強硬であっても、見境なくNATOに攻撃を仕掛けたり、世界大戦を起こすようなことはしない。プーチン氏がいかに常軌を逸しようと、そんなことは起こらないと思う。ロシアの今回の軍事行動の根本的な狙いは、ウクライナのNATO加盟を阻止し、NATOの東方への勢力拡大を阻止することだ。戦略的な意味でロシアは防衛に主眼を置いている」

しかし唐氏は、中共政権は、これとは異なると考えています。

時事評論家/唐靖遠氏
「中共には巨大な経済力はあり、中共には野望がある。中共は米国を凌駕しようと考えており、すでにそのための計画を立て、実行に移しているのだ。中共政権は、その独裁主義システムを世界に輸出しようとしている。その意味では中共はロシアより大きなも脅威だ」

唐氏はさらに、もし中共が武力で台湾を併合することに成功すれば、中共の軍艦は自在に太平洋海域に進入し、西太平洋の米国領土を脅かすことができるといいます。

その潜水艦から発射される弾道ミサイルは、米国本土を射程に収める可能性があります。そのため、米国はロシアの脅威に対処しながら、ロシアを中共政権側に押しやることのないよう、微妙なバランスを把握する必要があると唐氏は強調しています。

 
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