世界貿易機関(WTO)では、中共の不正な貿易慣行や国際機関に対する影響の懸念が高まる中、事務局次長の一人に、中共の高官が選出されました。
5月4日、WTOのンゴジ・オコンジョ=イウェアラ事務局長は、4人の新たなWTO事務局次長の一人に、中国の張向晨商務部副部長を選出したと発表しました。
他の3人は、米国、コスタリカ、フランスからきています。
張向晨氏は、米中貿易の緊張が高まった2017年から2020年にかけて、中共のWTO駐在大使を務めました。
中共商務部報道官は5月5日、張氏が選出されたことは「中共が過去何年にもわたって、WTOで積極的かつ建設的な役割を果たしたことを裏付ける」ものだと述べました。
しかし、サウスカロライナ大学エキケン校の謝田(しゃでん)教授は利益相反の疑いがあるといいます。
米サウスカロライナ大学エイキン校の謝田教授
「もし、この中国人がWTO運営組織にではなく、中国共産党に忠誠を誓っているなら、利益相反の恐れがある」
そして謝田(シャデン)教授は、この人事が中共政権の利益を代弁することに役立つだろうと語っています。
米サウスカロライナ大学エイキン校の謝田教授
「中共政府の関心事が、WTOの規則に沿うものではないことは明らかだ。だからこの中国の事務局次長が、中共政府の利益を代弁する力になることは間違いない。私はそこに問題があると思う」
中共の国際機関に対する影響力と支配力は、急速に進んでいます。
5月4日に発行された米議会の半期報告書では、中国人が4つの主要な国際機関のトップに君臨し、その他にも国連の様々な機関でトップリーダーの地位に就いていることが明らかになっています。
これはきわめて深刻な問題であると謝田教授は考えています。
米サウスカロライナ大学エイキン校の謝田教授
「中共当局者は全員、またこれらの組織に務める中国人もその大多数が中国共産党員だ。そして私たちは、中国共産党が中国全体を完全に支配していることを知っている」
謝田教授は、米国は民主主義の同盟国と協力し、主要な国際機関で拡大の一途を辿る中共政権の影響力に歯止めをかけなければならないと考えています。
〈字幕版〉