中国で行われた第7回国勢調査の結果が発表され、中国の人口増が示されました。この結果は中国の人口減少を報じた一部メディアを否定することになりましたが、ある専門家は、中共が出生率の水増しを続けており、最終的には人口危機が雪崩のように押し寄せてくると指摘しています。報道をご覧ください。
発表が延期されていた中国第7回全国国勢調査の結果が5月11日に公開されました。今回の公式発表によると、中国の総人口は2020年から5.38%増の14億1178万人でした。今回の結果が驚くに値しないのは、我々が前回、中国の人口問題を報じた時に、中共メカニズム内部の政府高官は、データの連続性を保つため、つまり前回のデータと整合させるために、間違いなくデータを改ざんすると想定していたためです。よって、今回の結果で人口の減少が隠匿された可能性は十分にあると考えられます。
中国人口問題専門家の易富賢(えき・ふけん)氏は、2020年の中国国勢調査で表示されたデータは、これまでで最も信憑性が低かったと指摘しています。中国の人口減少問題は、中共の世界征服という野望にどのような影響をもたらすのでしょうか。
妊娠中のチェンチェンさん
「住宅価格も高いし、若い世代は経済的なプレッシャーも感じている。だからある程度の経済的基盤がなければ、子供を産むことは考えられない」
2人の子供の母親のゾウ・ユージアさん
「仕事をして高齢者も養って、さらに子供の面倒も。私たちには手に負えない」
中国では、多くの若者が様々な社会的圧力にさらされて、子供は一人でいいと考えています。政府発表の出生率データによっても、出生率が年々減少していることが示されています。この増加した部分はどこから来ているのでしょうか。
中国の一人っ子政策の制定に関わったのは二つの部門で、一つは国家衛生・計画出産委員会、もう一つは中央政府の意思決定層です。中共の経済政策の特徴の一つが、予め意思決定を行って計画を立て、それに沿って経済政策を推進するという、いわゆる「計画経済」です。
中国の人口政策、例えば一人っ子政策もこの路線を踏襲して、1978年に一人っ子政策が憲法に正式に追加され、1981年には「中華人民共和国国家計画出産委員会」が発足して一人っ子政策が施行されました。中共中央政府の意思決定に従ってこの政策が施行、監督、フィードバックされていたため、計画出産委員会のデータは中央の決定策に合致していなくてはなりません。つまり、彼らはデータを必要に応じて調整するだけでなく、データの改ざんも行うとみられ、そこには間違いを是正するメカニズムも、フィードバックメカニズムも存在しません。
中国人口問題専門家の易富賢氏は、中国は遅くとも16年前に一人っ子政策の間違いを正すべきだったとして、その原因は出生率の水増しにあると指摘しています。
人口問題研究家で『大国空巣』執筆者 易富賢氏
「たとえば2000年の国勢調査の元の集計データは人口が12億〜12億1000万人前後で、彼らが予測した12億7000万人には程遠いものだった。すると彼らは国勢調査を繰り返して数千人を探し出し、最終的に12億4000万人にした。だが12億7000万人にはまだ届かなかった。よって更に2000万人余りを足して12億6580万人にした。それでようやく過去のデータとの連続性を維持できた。2010年の国勢調査でもこのようなことが行われた」
実際のデータと政府公式発表のデータとの乖離(かいり)がますます広がると同時に、中国の10大人口問題も悪化の一途をたどりました。最も直接的に影響を及ぼしているのは労働力不足と、国の経済発展の鈍化です。報告データによると、米国の人口は0.5%に迫る速さで増加を続けています。またインドの労働人口は2030年に中国を上回って「人口ボーナス」が到来すると予測されており、労働人口を15歳から64歳と定義した場合、インドの労働年齢人口は2028年には中国を上回ることになります。
上海市民のツァオ・ジョウさん
「これまでの十数年の間、私たちは人口ボーナスをたくさん享受してきただろう。現在の状況はというと、高齢社会が到来したころに、60歳以上、65歳以上の人はボーナスではなく負債とみなされることが分かるだろう」
中国問題専門家の横河氏
「自然界でも人体でも、動物でも、そのほとんどがネガティブフィードバックであることがわかっている。たとえば、ミサイルを発射したときには、標的に応じて自動的に調整され、実際、ずれているときには引っ張られて戻される。 そうすることで、生態系と動物の健康のバランスを保つことができるのだ。 計画出産委員会と中央政府の間はポジティブフィードバックメカニズムで、それが常に強化されて、本来のバランスが完全に崩れてしまう。自然界ではこれが雪崩である」
間違いを正すフィードバックメカニズムが存在しないため、雪崩が起きるまで、間違った結果を蓄積することしかできません。それがいつ到来するのか、それまでに中共の世界征服の野望が実現するのか、引き続き注意を払う必要があります。