米国がLRHWの射程を公開 専門家「中国に対するけん制」

米国はこのほど、極超音速兵器「LRHW」の射程が2775㎞以上あることを初めて公にしました。これは中共が台湾に侵攻した場合、米国陸軍はグアム軍事基地から中共軍に簡単に打撃を与えることができることを意味しています。

米軍事メディアのブレイキング・ディフェンスは5月12日の報道の中で、米陸軍報道官が、極超音速兵器「LRHW」の射程が2775㎞以上あることを認めたと報じました。(LRHWの統合製造はロッキード・マーティン)

米国陸軍が長年にわたり明らかにしてこなかったLRHW(Long-Range Hypersonic Weapon)の実際の射程に言及したのは、周辺諸国に対し執拗な嫌がらせを続けている
中共を牽制する意味があるのではとの見方もあります。

時事評論家 唐靖遠氏
「実際のところ、一種の威嚇戦略的挙動だ。米国はこのような形で、米国は中共のいわゆる接近阻止・領域拒否戦略の範囲外で、中共が台湾に武力侵攻した場合は、リアルタイムに攻撃する力があるということを中共に告げている」

さらに、中共が武力で台湾に侵攻した場合、米国はグアムから中共軍を簡単に攻撃できるだけでなく、米国が台湾、日本、韓国といった同盟国に兵器を配備した場合、1000マイル以上離れた中国大陸内部のターゲットまでも簡単に攻撃できるとも報じられました。

時事評論家 唐靖遠氏
「米軍はこのタイミングで、このような敏感なデータを発表したのは、中共が現在台湾海峡に侵入して居丈高に騒ぎを起こしていることと密接に関係している。彼らの目的は中共がのさばるのを阻止し、中共にそうした行為はほどほどにしておけと警告することだ。つまりこれは、米国が台湾海峡における軍事バランスを取るための行動であり、これらの兵器が存在することで、空母などの中共の重要な作戦プラットフォームが、戦争が勃発した時に完全に撤退することが難しくなるだろう。中共が過去に保有していた中距離ミサイルの優位性は実際には大幅に削られた。よって、このことは中共に対し巨大な抑止力を持っている。戦略的な観点から見て、これは米国が台湾戦略における明確な方向に暗黙のうちに接近するための行動だと考えている」

また地上発射型LRHWは、海軍の極超音速ミサイルシステム(IRCPS)と同じコアミサイルとブースター滑空キャリアを使用しており、両者の違いは陸上発射トラックを使用するのではなく、海上発射であることです。よってメディアは、海軍バージョンの射程が陸軍の2775㎞を下回ることはないだろうと推測しています。

海上型と陸上型のそれぞれに強みがあります。海上型は同盟国を驚愕させることなく公海から直接的に攻撃を発動でき、陸上型は海上型よりもコストがより低く、しかも地形に隠れて攻撃できるという利点があります。

 
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