5月22日に甘粛省白銀市でクロスカントリーマラソンが開催された際に天候が急変しましたが、主催者側が天候急変の可能性を選手に通告せず、救援も間に合わなかったために、参加者172人のうち21人が死亡しました。これは人為的な悲劇ではないのかと多くの人が疑問を感じています。
5月22日に甘粛省白銀市の観光名所・黄河石林(こうが・せきりん)で行われた100キロクロスカントリーマラソンのコースには、標高の高い無人エリアが複数含まれていました。
このコースの標高は平均1700メートル余りで、最高地点は標高2300メートル。大会には172人の選手が参加していました。
午前9時にスタートしましたが、その時点で強風にあおられて帽子を飛ばされる人が相次ぎました。
その後に冷雨と雹が降り始め、体感温度が0度近くまで下がりました。多くの選手が低体温症を起こしたほか、口から泡を吐く選手や卒倒する選手も見られました。また多くの選手が保温用のエマージェンシーブランケットを取り出しましたが、強風ですぐに破れてしまいました。
選手からは救援メッセージが発せられましたが、主催者がレースの中止を発表したのは午後2時になってからでした。
生き残った選手は、主催者から提供された装備リストの中には、十分な保温用品についての記載がなかったと疑問を呈しています。多くの選手はスタート時にTシャツと短パンしか着ていませんでした。
ある生存者は40件近い救援を求める電話をかけましたが、主催者はいつどうやって救助に向かうかをはっきり説明しなかったといいます。
別の生存者は気を失う前にGPS端末のSOSボタンを押しましたが、羊飼いに助けられてから3~4時間後にようやく武装警官と医療スタッフに救助されました。
あるネットユーザーは、主催者は救援プランを全く立てていなかったのではないかと疑問を呈しています。
温州大学体育学院の易健東教授
「一部は専門のチームだから、待機していなければならない。だが今回、これについて適切だったとは言えない」
ある生存者は、事故は第二チェックポイントと第三チェックポイントの間で発生しており、その区間の距離は8キロメートルで、標高差が1000メートルあったと話しています。
第三チェックポイントでは何の補給物資も提供されず、棄権することもできませんでした。
死亡者には、寧波100マイルマラソンで優勝した梁晶(りょう・しょう)選手や、中国パラリンピックマラソンの金メダリスト、黄関軍(こう・かんぐん)選手なども含まれていました。
今回の事故が起こった原因について、主催者の一つである白銀市政府は、天候の急変により不測の事態が起こったと説明しています。
甘粛省白銀市の張旭晨市長
「今回の件は、天候が局所的に急変して発生した公衆安全上の事件だ」
しかし甘粛省気象局は大会の2日前に、今後3日間は白銀市を含む甘粛省の大部分の地域で気温が大幅に下がると予報していました。
主催者側はこの予報を事前に告知せず、十分な救助も提供できませんでした。あるネットユーザーは、今回の悲劇は100%人為的災害だったのではないかと疑問を呈しています。