中国ウルトラマラソン大会で起きた悲劇

パラリンピック優勝者も死亡

中国北西部甘粛省で22日に行われたウルトラマラソンでは、レースに参加した障がい者ランナーの黃関軍(こう・かんぐん)さんが死亡しました。

黃関軍氏は、2019年の中国パラリンピック大会男子聴覚障がい者マラソンでの優勝者です。黄さんはこのような名誉を手にしていたにも関わらず、慎み深さで知られていました。

中国メディアが黄さんの友人に話しを聞いたところによると、黄さんは貧困家庭で育ち、大会の賞金を両親のために使い、自分にはほとんど使いませんでした。黄さんはレースで勝利するたびに、大会の賞金で数百ドルを稼ぎ、両親に仕送りしていました。

黄さんは、今回のウルトラマラソンの事故で犠牲になった21人のランナーの一人です。大規模なマラソンレースの最中に、地域の気温が急激に下がり、厳冬のような天候に見舞われ、緊急的な事態に陥りました。

5人のランナーは、幸いにも地元の羊飼いである朱克銘(しゅ・こくめい)さんに発見され、救われました。朱さんが異変に気づいたのは、洞窟シェルターの近くで助けを求める声が聞こえた時でした。ランナーらを発見し、すぐに彼らを洞窟内に避難させ、暖を取らせました。

朱さんは、このような天候はよくあることだと述べています。

ランナーの王金民(おう・きんみん)さんは、いつもと違う方法で気を引き締めていたおかげで、一命を取り留めました。悪天候の中、王さんは、すぐに体が冷え切ってしまいました。王さんは、救助隊を待つ間、寒さに耐えながら眠ってしまわないようにあらゆる努力をしたと言います。

王さんによると、気温が下がってくると、意識が遠のいていくため、自分で体をつねり、意識を保ってたといいます。しかし、やがて手足の感覚がなくなってきたため、舌や唇を噛み、痛みで自身の警戒意識を緩めないよう注意していました。また、家族に会うために生き残らなければならないことを思い出しました。王さんはしばらくして救助されました。

大会の主催者は、レースが始まってから3時間後に、異常に気づきはじめました。微信(ウィーチャット)のチャットグループには、「数人が意識を失った」、「緊急援助が必要です」などの助けを求めるメッセージが殺到していました。

生存者の中には、立っていられないほどの強風が吹いていたと言う人や、サーモブランケットが破れてしまったという人もいました。

 
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