現在、中共政権と欧州の間で緊張が高まっています。理由として、両地域間の投資協定の審議が凍結された状態が続いているためです。NTDフランスの特派員が、フランス諜報機関の元情報局長にこのことについて話を伺いました。
5月20日、欧州議会は中国との投資協定の批准審議を凍結しました。この投資協定では、中国共産党を「信頼できる貿易パートナー 」とみなしています。しかし、中共が欧州議会の議員に対する制裁措置を解除するまで、投資協定のEU側の審議凍結は解除されません。
中共当局は3月10日、欧州議会の議員やシンクタンク、外交機関に制裁措置を科しました。これは、中共のウイグル人への迫害に対する欧米の制裁に対抗したものです。
中共の王文濤・商務部長は5月25日、審議凍結の解除を求めるため、フランスを訪問しました。
しかし、EUが中国との協定の審議を凍結してから1週間以上経過しても、依然凍結解除の動きは見られません。
それに加え、中共とリトアニアの関係も悪化しつつあります。
5月22日、リトアニアは、中国との協力枠組みは「分裂」していると指摘し離脱しました。また、他のEU加盟国にも同様の対応を取るよう促しました。
中国との関係について、フランスの諜報機関・対外治安総局(DGSE)の元情報局長アラン・ジュイエ氏に話を伺いました。
元諜報部長官アラン・ジュイエ氏
「欧州各国にとって、中国に対する政策を変える必要があることを自覚したのは突然の寝覚めのようです」
ジュイエ氏は、中国の対欧州投資の成果は、見かけ通りのものではないかもしれないと言います。
元諜報部長官アラン・ジュイエ氏
「中国は決して贈り物をしません。中国は、『誰もあなたを助けようとしないが、私たちはあなたを助けます』と言ってくるのです。これは親切なようで、とても危険なことです」
「ギリシャの主要港であるピレウス港は中国に管理されているが、他の港もそれに続く見通しです。私たちはピレウス港が両国の協力により運営されるものだと思っていました。しかし、今では100%中国のものになり、全く違うものになってしまいました」
ジュイエ氏は、その他のプロジェクトが予想外の結果に終わったことにも触れています。
元諜報部長官アラン・ジュイエ氏
「フランス、ドイツ、日本は、自国の鉄道技術を売るために入札手続きを行いました。しかし、中国はそれを利用して情報を収集し、他国の技術を手に入れようとしただけで、最後にはすべての入札を拒否しました。そして、この3か国は自分たちの技術が中共に奪われたことを理解しました。現在、多くの人々が決断を下しているでしょう」
地政学的な緊張が解消されたとしても、現在保留されている協定を欧州各国が批准する必要があります。しかし、ドイツのEU議会議員の言葉を借りると、この協定は現在冷蔵庫の中にあります。