ニュージーランドのメディアは、2人の元国会議員の中共政権との関係を調査しています。中国生まれの2人の元国会議員は昨年、ほとんど同時に辞職しました。
記者たちはニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相に、この2人の元国会議員について質問しました。しかし、アーダーン首相は彼らをめぐる安全保障上の懸念について確認も否定もしませんでした。
この2人の元議員は、昨年7月に、11日以内に突然辞職しました。
ニュージーランドの報道機関2社は先日、2人の議員はそれぞれの政党の党首が自国の情報機関からの情報提供を受けた後に辞職したと報じています。
この情報機関は、2人の元議員が中国共産党と関係していることを警告したといいます。
実際、ニュージーランドメディアは数年前から2人の中共との関係を報じており、また中共がニュージーランド議会に浸透しているという懸念を示していました。
2017年、地元メディアは、ニュージーランド保安情報局(NZSIS)が、2人の議員のうちの1人、ジェン・ヤン(楊健)氏を非公式に調査を行っていたと報じました。
ヤン氏は中道右派のニュージーランドの野党・国民党所属でした。
ヤン氏はメディアの質問に対し、自身がスパイであることは否定しましたが、中共軍が運営する2つの学校で英語を教えていたことは認めました。それは中共の軍事諜報員に「情報収集」の方法を教授する学校でした。
しかし、ニュージーランドの市民権を申請する際、ヤン氏は自身が中共の党員であることや、軍学校の名前を出しませんでした。それは、いわゆる中共の「システム」がそうするように指示したからだといいます。
ニュージーランド在住のある反体制派の中国人によると、ヤン氏は地元の中国コミュニティで活発に活動しているといいます。中共政権の記念日を祝うイベントに、中共大使や中共軍の関係者とともに登場しています。
2019年には、ニュージーランドの国民党の元党首と中共の秘密警察の責任者との会談も手配しました。ヤン氏は後にそのことを謝罪しています。
もう一人の中国生まれの議員、レイモンド・フォ(霍建強)氏は、左派のニュージーランドの与党・労働党の出身です。
中国の影響力を専門とするニュージーランドの大学教授によれば、フォ氏はニュージーランドで中共の関係者と「非常に密接に連携」しており、中共の「統一戦線組織」とつながりがあるといいます。「統一戦線組織」とは、華僑の間で中国共産党のアジェンダを推進するために活動する企業や非営利の市民団体を指します。
ニュージーランドは、米国、英国、カナダ、豪州を含む「ファイブ・アイズ」の加盟国です。この同盟は、加盟国間で機密情報の共有を行うことを目的としたものです。
だからこそ、中共がニュージーランドに浸透することは、より大きな意味を持ち、懸念されています。ニュージーランド政府の脆弱性は、より広い範囲で影響を及ぼす可能性があります。