米中両国は、互いに標的とした核抑止力に目を向けています。両国は軍事衝突に至る可能性を排除できず、緊張関係が続いています。
中共政権は2030年までに核弾頭の数を1300発に引き上げる可能性があります。一方、米国は自国の原子力部門に220億ドルを投入しようとしています。
米国との戦争の可能性について中国共産党は留意しており、中共の官製メディア「環球時報」は最近、「中米間の激しい対決に備えなければならない」との胡錫進編集長の文章を発表しました。
この文章は、米国のインド太平洋調整官カート・キャンベル氏が行った演説の後に発表されました。キャンベル氏の演説は米中関係の激化を背景としたものでした。
5月26日、キャンベル氏は演説の中で米国は「対中関与の時代は終わった」と述べました。
米国インド太平洋調整官・カート・キャンベル氏
「覇権主義的な中国に対抗するには、同盟国と協力するのが最善の方法だと考えている。私たちは皆、関与と幅広く表現されていた時代は終わったと認識している」
「環球時報」は、米国の対中封じ込めが強化されると、中共は目の向けどころを核抑止力に転じるだろうとし、また中共の核弾頭の数は、米国のエリートらを震え上がらせるほどの量に達しなければならないと強調しています。
中共は激烈な口調ですが、実際はそのミサイル能力を誇示できるほどに達していない可能性があります。
米空軍大学の研究機関が最近発表した報告書によると、中国のミサイル産業は高度化しているものの、おおよそ漸進的な成長だと指摘しています。また、その成長は主に中国国内の基準で測られているため、実際には世界の競合他社に遅れをとっている可能性が高いとされています。
報告書ではまた、過去20年間において中共は外国の技術を入手した場合だけしか、革新的な前進を遂げることができなかったと指摘されています。
その理由として、中国のミサイル産業において人材の確保と維持の問題に直面しているためです。中国のミサイル産業は、低賃金や科学者の過酷な労働条件などの問題を抱えています。
中国のミサイル産業は、優秀な人材を確保し、維持する上で大きな障害を抱えています。科学者の低賃金や過酷な労働条件、劣悪な生活環境などの問題が離職率の高さや民間企業への流出の原因となっています。
それでも、中共政権は大量の核兵器を保有しています。米国のプリンストン大学の論文によると、中共は2030年までに1300発の核弾頭を保有する可能性があると推測しています。
このことに対して、米国防総省は注意を欠いていた可能性があります。米空軍は、自国の核事業に220億ドルを投資することで、中国の核戦力に対抗しようとしています。米国の2022年度の予算要求では、「核抑止力は、米国が力のある立場として交渉することを可能にする 」と繰り返し強調しています。