経済危機が中国を覆う「生産すればするほど赤字」【禁聞】

中国経済の不振を示すデータが示される中、個人消費が減少する一方で、石油や石炭などの価格は高騰して生産者の利益率が下がり、「受注すればするほど赤字になる」現象が起きたために、製造業者は減産や作業の停止などを行っています。経済成長の見通しが暗い中、人民の収入も下がり経済危機の嵐が中国を襲っています。

中共がこのほど発表した複数の経済関連データで、中国経済の疲弊が証明されました。

ボイス・オブ・アメリカは、公式発表の購買担当者景気指数(PMI)が51まで下がったことを例に挙げ、これまでの予想とは裏腹に主要原材料のPMIが大幅に上昇したと指摘しています。個人消費の低迷によって生産者利益が減少し、経済成長の見通しは芳しくありません。

石油や石炭といった原材料価格は上昇を続ける一方で個人消費は振るわないため、物価の安定化が中共国務院にとって頭の痛い問題となっています。中共当局は最近になって、大口物資の価格上昇に歯止めをかけようと積極的に介入し、大手鉄鋼メーカーや石炭関連企業をはじめとする重要な企業に対し、投機的売買を行わないよう命じています。

時評コラムニストの戈壁東氏
「(中共は)貿易を武器にして、国際社会による中国の人権問題をトレースすることに対応してきた。だがそのことによって、輸入に大きく依存する中国の原材料の市場価格の高騰を招いてしまった。火力発電所の石炭は主に豪州から輸入しているが、中共政権は貿易を武器にして豪州産石炭の輸入禁止措置を取った。それ以降、これらの火力発電所はまだ代替品を見つけられていない」

原材料価格の高騰によって企業の利益率が下がったため、「受注すればするほど赤字になる」という現象が起き、製造業界は受注の延期や減産、生産停止などを行わざるを得ません。

米サウスカロライナ大学エイキン校の謝田教授
「これまでは中国の対外輸出は中国経済への強心剤となっていたが、世界各国が徐々に外国との往来を再開して各国経済が徐々に回復に向かい始めたため、中国への依存度が減った。それだけでなく中国は内需も増えず、産業チェーンの国外移転も続いているうえ、深刻なインフレも相まって、今非常に深刻な労働力不足に陥っていることも明らかになった」

米シンクタンクのアメリカン・エンタープライズ・インスティテュートのデレク・シザーズ(Derek Scissors)氏は、中国の復興には小売業とサービス業による牽引が必要だと指摘し、その理由を工業と不動産市場が商品価格の影響を受けて経済成長が鈍化する可能性があるからだと考えています。

消費者は経済発展を後押しする重要な要素ですが、お金がなければ物を買うことができません。中国の若者の間でみられる「躺平運動(横たわる運動)」はまさに、彼らが消費活動に消極的になっていることを表しています。

謝田教授
「経済を立て直したいなら、まずは内需を拡大して庶民がお金と仕事を得る必要がある。だが、現在のところそれは難しいようだ。なぜなら今起きている「躺平運動(横たわる運動)」の主流は中低所得者層の労働者だからだ。彼らは参加しない、消費しない、購入しないという一種の消極的な状態、仕事をさぼるという状態を選択している。これは実際のところ、一種の非協力的な抵抗運動、消極的な抵抗運動であり、全国規模のストライキだ。ストライキの時は、国内経済の成長は望めない。たくさんの「横たわる人」が消費活動を行わないし、消費活動を行う力もなければ市場を刺激することもできないからだ」

こうした状況にさらに追い打ちをかけるように、中国南部では最近、電力需要が過去最高に達したために計画停電が行われています。中でも最も深刻な状況に置かれている広東省では電力の使用制限が工場の生産活動に打撃を与え、各工場の受注生産に大きな影響を与えています。

戈壁東氏
「中国南部で最近行われている大規模な電力制限によって、一部の企業は三日操業して四日休むという状況に置かれている。これは中国経済が深刻な状況に直面していることを示す重要なシグナルだ。南部の電力不足は体制の悪が経済発展に与えたもっとも典型的な衝撃だ。電力不足と原材料価格の高騰が中国の最も基本的な産業経済に対し、すでに致命的な打撃を与えている」

謝田教授
「もう一つは、中国のインフラ整備が投資と経済成長を牽引してきたが、それもすでに終わってしまったため、現在彼らは対外輸出を経済成長の動力にしたいと望んでいるという点だ。だが今見る限り、中国の対外貿易も多くの不確実性に直面している。各国は現在、疫病の調査のことで中共に対する責任を追及しているため、次はおそらく中共に対する処罰が始まるだろう」

サウスチャイナ・モーニング・ポストに掲載されたアジア太平洋地域の投資戦略アナリストの寄稿文によると、中国が直面している石油や石炭などの価格の高騰と、莫大な債務と庶民の収入減という経済の嵐が、中南海上空を覆っていると記されています。このアナリストは、中国国内の企業のデフォルト率は2015年に起きた中国株式暴落時の2倍に達しており、「我々は今、もう一つのリーマン型危機の氷山の一角を見ている」と指摘しています。

 
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