イタリアは、主要7か国(G7)の中で最初に中国共産党が主導する広域経済圏構想「一帯一路」に参画した国です。しかし、今年2月マリオ・ドラギ氏が首相に就任して以降、ジュゼッペ・コンテ前政権の親中路線から転換を推進し、国際社会からの注目を集めています。
今年3月末、イタリア政府は中国企業「深圳創疆投資控股公司(Shenzhen Invenland Investment Holdings Co.)」による、ミラノを拠点とする半導体製造装置メーカー・LPE(エルピーイー)の買収を拒否しました。英経済誌・フィナンシャルタイムズは、注目を引かなかったこの買収案件が阻止されたことは、過去に欧州で大きな成功を収めた中共外交の瓦解の程度を示したと強調しました。
ドラギ首相は、この買収案件において「半導体不足により、昨年は多くの自動車メーカーが生産の減速を余儀なくされた」と述べており、半導体が戦略物資として重要性を高めていることを理由に、イタリア当局は特定取引への政府介入を可能とする「ゴールデン・パワー法」に基づき、同取引をキャンセルしました。
フィナンシャルタイムズは、この動きはイタリアと中国の な関係が終盤を迎えていることを意味していると指摘しています。ドラギ首相による対中路線の転換は、中共とEUの関係にも影響を与え、中共とEUの投資協定の批准審議凍結に反映されていると分析しました。
台湾淡江大学の外交・国際関係学科主任・鄭欽模氏
「イタリアは基本的に(中共ウイルスの)最初の被害者で、被害状況が最も深刻な国の一つである。一つ目の直接的な原因が疫病で、その次が一帯一路問題だ。中国からの投資は中途半端で、市場におけるルールを遵守せず、契約精神を尊重しない。『戦狼外交』が3番目の原因で、イタリアの対中感情はますます悪化している」
台湾淡江大学の外交・国際関係学科主任・鄭欽模(てい・きんも)氏は、イタリアと欧州諸国の親中路線の転換は中共の欧州における外交活動の一連の失敗によるものだと指摘しており、ドラギ氏の当選は前政権の親中政策に対するイタリア国民の不満が反映されていると述べています。
台湾淡江大学の外交・国際関係学科主任・鄭欽模氏
「中国(共)のイタリアに対する投資、特に重要な産業に対する投資について、イタリア当局は今後慎重な姿勢を示していくだろうと予想できる。しかし、中国(共)との貿易関係を全面的に断ち切るだろうと言うことは時期尚早だと思う」
最近、英国の通信大手ボーダフォン・グループのイタリア支社が5Gインフラ施設の建設において中国の通信機器大手・ファーウェイ(Huawei)の通信設備を導入することで合意に達しました。合意に際して、高度なセキュリティ基準の条件が設けられました。ボーダフォンとファーウェイは両社の契約締結について対外的な説明を行っていません。