中共軍の研究者が最近、メスネズミ数匹を使ってオスネズミを妊娠状態にし、帝王切開で出産させたとの研究結果を発表しました。中国メディアは「世界初!」「男性が子供を産む未来は遠くないかも」などと絶賛していますが、多くのネットユーザーは驚愕し、この研究には意義がないだけでなく、自然の摂理にも反していると批判しています。
自然界において、オスが妊娠する種は、タツノオトシゴをはじめとするタツノオトシゴ属しかいないと考えられています。オスのネズミが妊娠して子どもを産むことは可能なのでしょうか。
中国海軍医学院、海軍医科大学の研究者は、まずメスネズミとオスネズミ同士を背中合わせに縫合して「結合ネズミ」にし、二匹のネズミに血液を共有させました。その後、別のメスネズミから子宮を摘出し、結合したオスネズミに移植しました。最後に発育初期の胎児をそれぞれ二匹のネズミの子宮に定着させました。
つまり、オスネズミ一匹を妊娠させるためには3匹から4匹のメスネズミを殺し、オスネズミの体内で妊娠を継続させるためには、オスネズミに去勢を施さなければなりません。
この結合ネズミは合計46ペア用意されました。研究者によると、妊娠後21.5日が経過したときに、メスネズミの子宮内で169の胎児が正常に成長しており、オスネズミに移植された「子宮」内には27の胎児しか正常に発育していなかったといいます。最終的に帝王切開で、オスネズミの腹部から10匹の赤ちゃんネズミが取り出されました。
この研究成果は6月16日に生物学プレプリントプラットフォームの「バイオアーカイブ(bioRxiv)」で発表されましたが、この分野での審査がまだ終わっていないため、正式には発表されていません。論文の執筆者は海軍医科大学海軍医学院教育機構実験教学示範センター、海軍医科大学海軍医学院栄養・食品衛生学部の張栄佳(ちょう・えいか)と、海軍医科大学長海医院産婦人科の劉玉環(りゅう・ぎょくかん)です。
中国メディアはこの研究を「世界初!」「科学の奇跡」「男性が子供を産む未来は遠くないかも」などと絶賛しています。
しかし多くのネットユーザーは驚愕し、「この実験の具体的な意義はいったい何だ?この先男に子供を産ませるためか?」「もし男に子供を産ませたいのなら、そのために男の数よりもたくさんの女が犠牲になる」「自然の摂理に反している」「なぜこんな実験を?人道に反するものだ」と疑問の声を挙げています。
軍関係の医学院、大学はなぜこのような実験を行うのでしょうか。
米国のバイオ企業副総裁の懐海鷹博士
「臓器移植だ。彼らが生理機能に行ったことも臓器移植だ。生殖方面の条件を模索してはっきりさせたいのだ。もう一つの可能性は、軍事行動に新たな道を開拓することだ。生殖過程などについて理解したいのだ。正常なルートを通じて、あるいは倫理的に正しいルートを通じて研究することもできるのに、なぜこうしないといけないのか?」
米国のバイオ科学研究者でポストドクターの陳力氏
「私個人は、なぜこんな実験をしようと思うのか理解できない。もしかしたら彼らは新たな研究分野を打ち出して、より注目される論文を発表したいと思っているのかもしれない。そうすればとても有名になったと感じるだろう。彼らの研究は論文を発表することが目的で、論文を発表するのは肩書のため、仕事を確保するため、そしてもう一つは昇進のためだ」
米国のバイオ科学研究者でポストドクター(博士研究員)の陳力氏は、この種の技術はまだまだ始まったばかりだとして、人体への応用を語れる段階ではないと考えています。
陳力氏
「科学界はこの発表をどう思うだろうか?私は二手に分かれると思う。まともな人ならお前たちは何をやっているんだ?と思うだろうし、頭が足りない人は、こんなにインパクトの強い雑誌に論文を発表したんだなと思うだろう。なぜなら中国大陸の多くの研究機関は、インパクトファクターの数値の高さに応じて報奨金を出すからだ」
しかし専門家は、自然の摂理に反する実験は自然からしっぺ返しを食らうと警告しています。
懐海鷹博士
「ソ連はかつて、命令に背かない兵士、体の屈強な兵士を作るために、人間をオランウータンや猿と交配させた。つまり、人間の精子とメスザルの卵子を交配させた。だが何が起きたかと言うと、一つはこうした命は長く生きられなかった。もう一つは、性病やエイズといった(パンドラの)箱を開けてしまった」
中国の科学界に存在する倫理意識の希薄さについては、これまでもずっと疑問視されていました。以前にバイオ研究者の賀建奎(が・けんけい)氏が発表した世界初の「遺伝子組み換え赤ちゃん」の研究成果は大きな倫理的論議を引き起こしました。世論からの大きな圧力を受けて、賀建奎氏は最終的に3年の実刑判決を受け、300万元の罰金の支払いを命じられました。